右か左か?7

  • 画像1

画像1はタッピングネジとボルト、それに鬼目ナットで、何れも右ネジだ。
右ネジというのは、コイルと同じく、ネジを横から見たときにねじ山が右肩上がりのラセンが見えるものをいう。
中学生の時の、技術家庭科で、ネジのことを習った。その時に、右ネジという言葉が出てきたので、担当の教師に「右ネジというのは、なぜ右ネジというのですか」と質問した。その教師の答えは、「右ネジは、右に回すと、ねじ込むことができるから、右ネジという」だった。
中学生の私は、もう、「右に回すといいますが、それはどうして右回りというのですか。また、ねじ込む時の動作を基準にする理由は何ですか」という質問は、胸のうちにしまっておいて、実際にはしなかった。
私が抱いた本源的疑問への回答をこの教師に求めるのは、時間の無駄であると思ったからだ。
上記の教師の回答は、右ネジの特性を述べたもの、または、目の前の一本のネジが、右ネジか左ネジかを判定する方法ではあっても、そのネジがなぜ右ネジと呼ばれるかの理由ではない。
以上、身の回りにあるもので、右左の区別のあるものを見てきたが、右か左の判断を日本式は、回転であれ、渦巻きであれ、ラセン形をなすものであれ、ある種の運動を動作するものの視点で捉えようとする。
一方、西洋式は、回転と渦巻き動作は、時計の針とのアナロジーで捉え、ラセン形一般に関しては、right-hand(ed)/left-hand(ed)という語で表す二本立てであることが解る。
さて、このことを念頭に、最初の疑問、アサガオのつるの巻き方に戻ることにする。
日本式で考えれば、アサガオのつるは支柱を中心に、左へ左へと曲がりながらラセンを形成していく。よってこれを左巻きとするのは、自然な考え方だ。
植物学者、牧野富太郎は、自分の著書の中で、アサガオのつるは左巻きだと書いている。そして、その主張の通りに、小学生向けのの教科書でも、アサガオのつるは左巻きと説明するようになった。
そのため、アサガオのつるの巻き方を左巻きとする判定法を牧野式と呼ぶことがある。
しかし、アサガオのつるの左巻きと言い出したのは、牧野が最初ではあるまい。
牧野は、以前からある日本式の考え方が、日本人には向いていると思い、自らの著書の中でアサガオのつるの巻き方を左巻きと書いたのだと思う。