日本人の英作文5

英語学習で、ほぼ全ての日本人は、英単語および英熟語とそれに付けられた和訳をセットで覚えるはずだ。たとえば、appleならリンゴという訳語でappleを理解する。
この手法は、apple=リンゴという等式が成り立っていれば、問題はないが、訳語が適切でない場合には、元の英単語、英熟語の意味理解をも妨げる。
元の英語の意味理解が不適切だから、日本語から英語への変換でも、出来上がった英文の不自然さにまったく気がつかないことになる。
たとえば、「cannot help+動名詞」は、「〜せざるを得ない」という訳で覚えている人がほとんどだと思う。
しかし、この訳語は元の英語の意味を正確には伝えていない。そのため、日本語で「〜せざるを得ない」が使われている文を「cannot help+動名詞」で表すと、英語としては不自然極まりない文ができてしまう。
これを避けるには、元の英単語なり、英熟語が伝えようとしている意味内容をできるだけ反映した日本語訳を自分なりにつけ、その訳をつけた英語の例文とともに覚えておくようにすればよい。
上記熟語に関しての詳しい説明は、また別の機会にするとして、「日本人の英文法」の説明に基づいて、used toとwouldの場合には、どんな訳語が適切かを考えてみる。
まず、used toの場合、二つの場合が考えられる。一つが「過去の習慣」、もう一つが「過去の状態」だ。暗記用の例文と訳は次のようになる。
used to:
1. (過去の習慣)(a)以前、〜の習慣があった。(b)以前は、日常的に〜していた。
  (a)I used to smoke. (b)I used to play tennis in my 30s.
2. (過去の状態)(a)以前、ここには〜があった。(b)今は違うが、以前は〜だった。
(a)There used to be a big factory here. (b)I used to be interested in art.
would:
  (過去への追憶)(a)あの頃は、よく〜したもんだ(b)よく〜したことが思い出される
(a)I would sometimes smoke and drink all night with my friends in my college days.
(b)I would go swimming in the nearby river during the summer vation.
以上のような訳語と例文をセットして覚えておくと、完全ではないにしても、大体間違いのない英作文ができると思う。
「日本人の英文法」の説明の中で、次のような文は、文脈が与えられないと不自然だとの説明があった。
I would go to France at least three times a year.
この文に、上記の自家製の訳をつけると、「あの頃は、年に3回はフランスに行ったものだ」または「年に3回はフランスに行ったことが思い出される」となり、文脈抜きに、追憶、回想する場面でもないのに、唐突にこの文が出てくることの不自然さが少しはでていると思う。
一方、次の文だと、訳文にも不自然さがない。
I used to go to France at least three times a year.
以前は、年に3回はフランスに行く習慣があった。