日本人の英作文4

「日本人の英文法」の引用の続き。

(2)の文もwouldで入れ替えることは出来ません。
要点は、(1)(2)とも、以前は存在したが今は存在しないような、「状態」について述べているということです。それに対してwouldは、定期的に行っていたが、今は行っていないような「動作」に対してだけ使えるのです。
でも(1)の文の「タバコを吸う」というのは「動作」ではないかという人がいるかもしれませんね。その通りです。しかし、ここではタバコを吸うという行為を、習慣---つまり、「私」の日常生活の中の必要不可欠な部分を形成するもの---として見ているのです(喫煙は、本当は習慣というより中毒でしょうが、この問題には深入りしないことにしましょう)。そのような見方によれば、喫煙は「動作」というより「状態」になるでしょう。趣味や関心事も、習慣と同じ扱いをしていいと思います。
I used to play tennis/collect stamps/climb mountains, etc.
この意味のwouldは、過去に定期的に起こった「動作」についてだけ使われるのですから、「状態動詞」---belong, have(=posses),likeなどの進行形の使えない動詞---と一緒に使うことはできません。
(○) My father used to have a Rolls Royce.
父は以前ロールスロイスを所有していた。
(×) My father would have a Rolls Royce.
これに対して、used toは「動作」と「状態」のどちらにも使えるので、wouldよりも会話で耳にすることがずっと多くなります。しかも、もし皆さんが、wouldはやめにしてused toだけを使うようにすれば、それだけ間違いの危険性は少なくなるでしょうから、より安全な選択ともいえます。しかしながら、このいみでのwouldをまったく放擲してしまうのは、残念なことでもあるのです。なぜなら、wouldはused toよりも、「過去を懐かしむ気持ち」をずっとよく表現できるからです。この「過去を懐かしむ気持ち」があるために、先の例文(a)のused toをwouldに変えてしまうと、その文単独ではちょっとおかしな響きになってしまうのです。
(?) I would go to France at least threee times a year.
「過去を懐かしむ気持ち」を伝えるには、何らかの文脈で支える必要があります。
I would go to France with my parents at least three times a year when I was a child.
私は幼少の頃、少なくとも年3回は両親とフランスへ行ったものだった。
また、wouldにはほとんどいつでも「頻度を表す副詞(特にoften)」がつくことも覚えて置いてください。

以上が、「日本人の英文法」にあったused toとwouldの違いの説明だが、この説明ですんなり違いが理解でき、英作文の時に間違いなく使い分けができるだろうか。
英語では、動詞の種類の違い、たとえば、状態動詞と動作動詞の違い、他動詞と自動詞の違いなどにとても敏感で、それぞれに対応した使い方が求められるのに対し、日本語では、こうした違いを意識することがない。
動詞の素性に無頓着な日本人は、used toが「動作」と「状態」の両方に使え、wouldが「過去に定期的に起こった動作」の場合にのみ使うといわれても、なかなかすんなり理解ができないと思う。
説明でうまく理解できないのならどうするか。