日本人の英作文2015-2

英作文の一回目の課題箇所と訳例はつぎのとおり

課題文
「つばめのつんちゃん」
保育園ののき下に、つばめが巣を造りました。しばらくすると、ひなが生まれ、2羽の親つばめが、せっせとえさを運んでくるようになりました。

訳文1
A swallow's nest was built under the eaves of a day nursery. Then baby birds were born and their parents came to carry the food busily into the nest.
訳文2
A pair of swallow built a nest under the eaves of a nursery school. Soon baby swallows hatched. The parent birds busily carried food to their young.

いつものことだが、元の日本語がいくら簡単なものでも,これを的確な英語にするのは簡単ではない。
訳例1では、いきなり受動態の文を持ってきているが,受動態は先の文章に出てきた名詞を主語にする場合に用いられることが多く、この文のような文章の筆頭で用いるのは不自然。
それに、この文だと、「ある一羽のつばめのための巣が作られた」という意味になっていて,原文の内容と大きくかけ離れている。この部分は訳例2のようにするのが普通。
原文では巣を作ったのは単に「つばめ」としているが,当然、そのつばめは「一番(ひとつがい)のつばめ」に相違ない。実際、原文でもそのつぎの文で、「2羽の親つばめ」と表現している。
日本語では、「2羽の親ツバメ」を文章のどこで表現しようと自由だが,英語では,その事を初出の場所で明示する必要がある。
そして、初出の後は、それを代名詞または、定冠詞付きの別の名詞で表現するのが普通。
日本語では、表現者側が表現に全面的に責任を負うのではなく,受け手側の常識や理解力にほとんど全面的に頼って,表現を簡略化する。
英語はその真逆。したがって,日本語から英語への翻訳では、日本語では省略された情報を補わないと意味不明の英語になる。
訳例1が受動態を選んだのは、原文では欠けた情報を積極的に補うことを嫌ったためかもしれない。
第二文。訳例1では、原文の表現をそのまま直訳したものになっているが,この文では,卵生であるツバメがまるで胎生動物のように感じられる。
ここも、訳例2のように表現するのが普通。
ツバメは通常複数の卵を産み、複数の雛が孵る。したがって訳例2のように、日本語では全く無視される名詞の単数,複数の区別を英語ではきちんと表現する必要がある。
第三文。原文にある「運んでくるようになりました」を訳例1は、"their parents came to carry the food"としている。
"come to 動詞原型"を「〜するようになる」と学校では教わるし、英和辞典にもそのような訳をつけている。
しかし、動詞が動作動詞の場合,"come to"は「〜するためにやってくる」という意味になるのが普通。
過去形とともに使った場合には、「最終的〜することになった」という意味になることもあるが、いずれにせよ、日本語の「〜するようになった」を表すことができない。
訳例2はその事を多分承知の上で、「〜ようになった」の部分を意図的に無視したのだろう。
しかし、動作動詞の過去形の表現だと、基本的に一度きりの動作を表すから,訳例2の表現では、やはり問題がある。
訳例
A pair of swallow built a nest under the eaves of a nursery school. Soon, some baby birds hatched and the parents started incessantly carrying food to them.