南アフリカの多肉植物3

  • クラッスラ属都星(10月22日の早朝に撮った写真)



日本の平暖地で夜露が発生するのは、日中と夜間の温度差が大きい春と秋だ。夏は湿度は高いが日中と夜間の温度差が小さいためか、夜露はあまり発生しない。
一方、天女の自生地の気候グラフを見ると、最高気温と最低気温の温度差が年間を通じて15℃前後ある。これだけの温度差があると、ほとんど年中、夜露が降りるのではないだろうか。
天女に限らず、南アフリカ多肉植物には、葉の表面が爬虫類を思わせるざら肌のものが多い。
夜露に濡れた天女を見て思いついたのは、このザラザラ肌は空気中の湿気を効率よく、夜露にするための装置ではないのか。そして、天女の葉の形状は集めた夜露を、効率よく株元に流れるようにするためのしくみではないだろうかということだ。
その推測が正しければ、こうした植物への灌水方法はこれまでのやり方、つまり、春と秋には、鉢土が乾けばたっぷり、夏と冬は断水というようなものではだめだということになる。実際、夏あるいは冬に断水すると、根が乾燥しきって大抵だめになる。
そう考えて、今年は屋根の上栽培を始めた時から、朝一で霧吹きで、天女、それから冬型クラッスラ数種の鉢土の表面がしっとり湿るぐらいの水を与えることにした。
この表土が湿るぐらいというところが大事で、いわゆる鉢底から水が流れ出すほどの灌水は、これまただめということだ。
午前中の早い時間に乾いてしまうぐらいの湿り気を毎日与えることが大事なのだ。
鉢底から流れるほどの灌水は、自生地でも比較的雨量の多い時期の、一週間から10日に一度ほどに限定する。年中、ほとんど雨の降らない地域に自生する都星のようなものだと、普通の意味での灌水は行わなくてもいいかもしれない。
まだこの新灌水法を始めて、半年ほどにしかならないので、断定的なことはいえないが、とりあえず、この灌水法で育てている多肉は今のところ元気だ。
画像は、10月22日の朝、夜露にしっとり濡れた、クラッスラ属都星と、その自生地の気候グラフだ。
夜露のために、霧吹きを使うまでもなく、鉢土の表面がしっとりと湿っている。