新たな子犬たち2013-3-3


母犬の姿も、子犬も見当たらないので、その場を去ろうとした。しかし、なぜかその茂みをもう少し、よく観察する気になり、中州に立ち入って、茂みを反対側からも見てみることにした。
中洲には、びっしりとイラクサが生えていて、正直、あまり踏み込んでいく気にはなれない所だ。
足場の悪い場所を慎重な足取りで進み、茂みの反対側に回った。すると、私の足音に気がついたのか、イラクサだらけの草むらのどこからか、子犬の鳴き声が聞こえてくるではないか。
辺りを見回しても何も見えない。草むらのを進んでいくと、ある一箇所から鳴き声がする。
しかし、その場所の草をかき分けようにも、イラクサは直接手で触ると、とんでもないことになる。乗ってきた自転車の前カゴにゴム付き軍手を入れてあったのを思い出し、それを取りに自転車のところまで戻った。
軍手を手にはめて、また草むらに戻ろうとしたら、目の前に一匹の犬。母犬のシーバが気がついて姿を現したのだと思った。
やはり、もうしばらくは、子犬の世話は、シーバに任せることにして、この場を退去するのがいいだろうと思い、自転車に乗って走り始めた時、あることに気がついた。
シーバだと思った犬の毛の色がグレーっぽく、胸のところに白い毛があったことだ。シーバじゃない。
この犬は実は、今年の1月に4頭の子犬を保護した時に、一頭だけ保護できなかった子犬が成長した姿だったのだ。
シーバが今回子犬を産んだ場所は、1月に子犬を発見したプレハブ作りの小屋から100mと離れていない。
保護できなかった子犬は、建設作業場で育ててもらって、その姿をこれまでに何度か目撃している。
姿は母親のシーバにそっくり。しかし、毛色は濃い灰色と、白のまだら模様。その犬が子犬の鳴き声に反応して、建設作業所から出てきたのだ。