ボクは猫が嫌いだった1

うちには現在、犬が6匹、猫が1匹いる。また、猫も一時は6匹同時に飼っていたことがある。
そのことを人に話すと、よほどの犬好き、猫好きのように思われるのが普通だ。しかし、本当のことを言うと、以前は、犬も猫も大嫌いだったのだ。
実際、犬嫌い、猫嫌いだった自分が、たくさんの犬や猫の世話をすることになろうとは予想もしなかった。
さて、2月7日の読売新聞夕刊に興味深いエッセイが載った。以下にそのエッセイの一部を引用してみる。

ボクは猫が嫌い…だった。小学生の頃、可愛がっていたインコのチョロが、近所のチャコという猫にやられたからだ。それ以来猫に復讐すると誓った。
ボクは猫を見つけるとおどかしまくった。近所の猫はボクの顔を見るとふるえあがった。動物は大好きだけど、猫だけは別だ。犬を飼うために庭ある家を建てたくらいだが、猫を見つけると一緒に追いかけた。
ボクの作品で「あかちゃんのあそびえほん」というシリーズがあるが、その中で子犬のコロは可愛く描いたが、猫のミケはイジワルそうに描いてある。
元々ボクの絵本にほとんど猫なんて出てこない。何十年もそうだった。ところがそのボクがなんと今猫と暮らしているのだ。
毎日同じベッドに寝て、一緒の時間にごはんを食べ、床に寝そべった猫を見つける度に「おや、こんなところに可愛い猫が落ちてるぞー」などと言って抱き上げ、ほおずりなんてしている。
最近は「ボクは山ねこシュー」とか「すてきなやまねこようふくてん」とか猫の主人公の本も多い。
一体ボクに何があったのか。
4年前のことだ。ボクが仕事で出かけていると、ケータイに娘から電話がかかってきた。
「ねえ猫飼っていい?」
「え?」
唐突にそういわれてボクが返答に困っていると、「飼えなくてもいいけど、このまま放っとくと死んじゃいそうだから元気になるまでなら家においていい?」
「うう…。わ、わかった」
そう言われればそう答えるしかない。しかしこれが子供たちの罠だったのだ。(後略)

上記のエッセイは童話作家きむらゆういち氏によるものだが、猫が嫌いだった理由が私の場合とても似ている。
飼っていたインコが近所のねこに殺されて、猫全般に復讐を誓ったところはまるで私のことを書いたのかと思ったぐらいに似ている。
もっとも私の場合、殺されたのは、インコではなく、私がヒナのときから挿し餌で育てた三羽のヒバリだった。