日本人の英作文2014-1-13

「ある動作+人+身体のある部分」の構造をとる場合と、「ある動作+身体のある部分」をとる場合では、意味に違いがあることに言及したついでに、次の二つの文の意味の違いについて述べてみる。
1. John showed Mary a photo.
2. John showed a photo to Mary.
1.の文と2.の文では意味に違いがあることなど、学校での授業はもちろん、文法書などでも説明されることはない。
無視していいほどのニュアンスの違いと認識した上での無視というよりは、そもそも意味に違いがあることなどまったく理解していないからだろうと推測される。
英語の動詞には、動詞それ自体に目標達成を含意したものが多い。
日本語では、そうした違いはあまり認識されない。しかし、次の二つの日本文を考えてみる。
J1 私が海外留学することについて、両親を説得した。
J2 ジョンはメアリーの写真を見せた。
上記のJ1. に関しては、説得が功を奏したかどうかは、この文からだけではわからない。「説得したが、両親は納得しなかった」という結論も十分ありうる。
一方、J2のほうは、メアリーが写真を見たことも意味に含まれている。
次に上記の日本文を英語にした場合を考えてみる。
E1 I persuaded my parents to allow me to study abroad.
E2(a) John showed Mary a photo.
E2(b) John showed a photo to Mary.
E1の文の意味は、説得に成功して、許してもらったことまで意味に入っている。日本語の「説得する」が、必ずしも、それに成功することまで意味しないのに対し、persuadeには、目的の達成が含意されている。
E2(a)に関しても同じで、メアリーは示された写真を見たことも意味する。これは、日本語の場合と同じだ。
ところが、E2(a)と書き換え公式で、同じ意味とされるE2(b)の場合、ジョンに写真を示されたメアリーがそれに注意を払って、実際に目にしたかどうかはわからないのだ。
ちょうどこれは、日本文のJ1の場合に相当する。
John showed a photo to Mary, but she didn't look at it.
というような状況もありうる。
メアリーが、写真のほうに目を向けなかった理由はこの文からだけではわからないが、そうした状況になる場合はいろいろ想定できることだ。
文の構成が違えば、意味にも違いが出るのが原則ということは覚えておくべきことだ。
他にも学校英語では、同義文とされているが、実際には違いがある場合について、「英語の感覚・日本語の感覚」(池上嘉彦著 NHKBooks)が参考になる。