語彙力とは7

引用したリーダース・ダイジェストの記事のちょっと読んでみると、内容は平易で時折、難しい単語もちらほらあるものの、この程度の文章を最初から最後まで、一気に読み通すことができなかったというのは、それができるようになっている今から考えると、ちょっと自分でも納得できない気がする。
17年前というと、各種英検などは、すでに目標を達成していて、英会話力も今よりずっとあった。
それにもかかわらず、それほど難しい内容でもない英文を,ある一定以上の時間,読み続けることができなかった。
一番大きな理由は、英文解釈的な読み方から,いまだ脱却できておらず,そういう読み方では,読み続けるだけの根気が続かなかったことだと思う。
もうひとつの理由は、これは、最近わかったことなのだが、読む力、それも読書持久力とでもいう能力は、長時間の読書を続けてこそ身に付くものなのではないかということだ。
ごきげんよう」というトークショーを良く見るのだが,少し以前にこの番組のゲストとして,漫画家でタレントのEが出演した。
このEの、番組でのトークは意外なものだった。
彼は、生まれてこの方,文学作品,小説などのいわゆる本を最後まで読んだことが一度もないという。
たまには本でも読んでみるかと、読み始めてみても、直ぐ疲れてしまって、ギブアップ。どうしても連続して読み続けることができない。
その理由をEは、自分は頭が悪いからではないかと語っていたが、このトークは、あることを私に気づかせた。
読書をしない人間、いやたぶんできない人間は身の回りにも結構な割合でいるのではないか。
Eがこの話をしたときの会場の反応はまったくの無反応。普通、かなり意外な話だと、肯定的反応は、「ヘー」で、否定的反応は「エーッ」だ。
何も反応がないというのは、自分にも心当たりがある人が会場にもかなりいたことを示唆している。
実は、私の母親が読書をしない人間だ。生まれてこの方、私は母親が本を読んでいる姿を見たことが一度もない。
役所や保険会社からの通知は真剣に読んでいるところを見ることはあっても,新聞すら読んでいるところを見たことがない。
第一、本棚に母親が読んだ本があったためしがない。本は読まないというより、たぶん、読書持久力がなく、本を読み続けることができないのだと、このトークではじめて気がついた。