comeとgo再び#6

続いて、状況2-bの場合を見てみる。
先に仕事を終えて、退社しようとするWorkerAが、まだ働いているWorkerBに、仕事を切り上げて、どこかへ食べに行こうと誘っている場面。
"Why don't you come with me?"とcome come withを使っている。日本語だったら、「付いてこないか」に当たる言い方だ。
状況2-aで見たように、"come with me"は、主導的立場と従属的立場が反映されるので、この場合のWorkerAとWorkerBには先輩と後輩または、上司と部下の関係が反映されているかもしれない。
WorkerAとWorkerBに上下関係がなく、同僚の関係だと、WorkerAが"Why don't you go with me?"という誘い方も可能だ。
一方、誘われたWorkerBの答え方では、"come with you"でも、"go with you"でも、どちらでも良く、意味の違いも大してない。
積極的、自発的な同行の場合、"go with you"が使われる傾向にある。
状況2-cでは、地理不案内なドロシーが、状況を良く知るおばあさんに同行を求めている場面。
このように、自分よりも、良く地理を知っている人間に同行を求める場合には、相手の意向を尊重した"Will you, Won't you, Can you"を用いて、同行を依頼する形をとる。
もし、この場面で、"Will you come with me?"と表現すると、行き先のエメラルドシティへの道順はドロシーも良く知っていて、何らかの理由で、おばあさんにそこまで付いてきて欲しいと同行を求めていることになる。
たとえば、夜遅い時間に外出する事情ができて、ちょっと不安なので、家族の誰かについてきて欲しいと思う場合、"Will you come with me?"を用いる。
状況2-dは、状況2-bの状況と似ている。違っているのは状況2-bの場合、行く先はどこかの飲食店で、Worker Bも進んで誘いに乗る状況だが、状況2-dは妻のEmilyがこれから行こうとする場所は、夫Kaneの浮気相手が暮らしているところ。
妻は、夫が浮気していることを先刻承知していて、そのため、妻の台詞もいわゆる上から目線の"If you wish, you may come with me."という言い方をしている。
夫のKaneとしては、妻がこれから行こうとする場所は自分の知らない場所だという意味もこめて、"I'll come with you."と表現している。
ここは、"I'll go with you."でもかまわないが、この表現だと、なんだか、その場所のことについてよく知っていて、積極的に行きたいようなニュアンスがでる。