comeとgo再び#5

同行の場合のcomeとgoの使い分けについて、手元にある3種の英和辞典を見ても、詳しい説明はない。
#2で引用した、ある英和辞典の説明を再掲してみる。

語法: comeには日本語の「来る」と「行く」の両方に相当する用法がある。
①人や物が話し手のほうへ、あるいは話し手と一緒に話し手の行くほうへ移動することを表し、この意味では日本語の「来る」と同じ:Come this way. こちらへ来なさい。Will you come with me to the hospital? 私と一緒に病院へ来てくれませんか。
②話し手が相手のいる場所、相手の意中にある所、相手と一緒に相手の行く所へ移動することを表し、この意味では日本語の「行く、参る、うかがう」に当たる:I will come to see you on my way home. 家に帰る途中でお目にかかりにうかがいます。I will come to the party. (お宅の)パーティーには出席します。Can I come too? 私も一緒に行ってよろしいですか。

上記の説明で、同行の場合に当たるのは、①の「話し手と一緒に話し手の行くほうへ移動すること」で、例文は"Will you come with me to the hospital?"になる。
また、②の場合だと、「相手と一緒に相手の行くところへ移動すること」で、例文は"Can I come too?"になる。
この説明の仕方だと、対話している二者がいて、これから移動する側が同行を求める場合(①の場合)でも、これから移動しようとしている側に同行の許可を求める場合(②の場合)でもcomeしか使えないように思えるが、実際にはgoが使われる場合が少なくない。
では、どのような場合にどんな意味でgoが使われるかは、英和辞典で説明している場合は私の知る限りない。
それでは、先に挙げた2-aから2-dまでの4つの場合について、詳しく見ていくことにする。
2-aの場合の特徴は、相手または聞き手に、同行を求める場合に、命令的要素が強いということである。
相手に有無を言わせない調子があり、使われる状況も主導的立場と従属的立場という関係の場合がほとんどだ。
この場合の従属的立場というのは、実際に、職場での上下関係などを反映している場合もあるが、話し手がこれからどこに、またはどのようにして行くのか、行った先になにがあるのかについてなどについて情報を持たない場合もある。
次のような場合である。
○状況2-a-2
子どもが母親に、自分が描いた絵を見せたくて、自分の部屋に来てくれるように頼むシーン。
Child: Mom, can you come with me to my room?
Mother: What for?
Child: I have something to show you.
母親のほうが立場的には主導的であっても、この場合、付いていった先(子ども部屋)になにがあるのかを母親は知らない。
こういう場合にも"Come with me"が使われる。状況2-aの各場合について、comeの代わりgoが使われることはない。