ある英語の選択問題#9

文章中に表れる分詞構文をいくつか見ていくことにする。まずは最近読んだ二つの小説、といってもいわゆるretold versionなのだが、(1)から(3)はDr. Jekyll and Mr. Hydeで、(4)から()はBlack Beautyより抜粋したもの。
(1) The footman came quickly, looking very white and nervous.
(2) They hesitated a moment longer, listening to that patient footfall still going up and down in the quiet night.
(3) "Sir, why don't you read what he says?" asked Poole, looking very worries.
(4) I shall never forget the first train that thundered by, and how I galloped to the far side of the field, trembling with fear at the terrible noise.
(5) One morning early in December, the master came to the stable with a letter in his hand, looking very serious.
(6) She gave a violent kick, nearly unseating Lady Anne.
(7) Seeing kindness in the farmer's face, I lifted my head, put my ears forward and tried to look my best.

(1)(3)(5)はいずれも主文の動作が、分詞の表す状態で行われたことを表している。分詞の表す内容を接続詞と主語を加えて表すより、"with an expression of..."と副詞句で表したほうが適切かと思う。
日本語に訳すならいずれも、「〜という表情して(で)」でうまく訳せる。
(2)は別々の二つの動作が同時に行われたことを表している。接続詞whileと進行形を用いて書き換えが可能だろう。
(6)は二つの動作が同時に起きたのではなく、主文の動作が分詞の表す動作の原因になっている。私はこれを「結果」を表すタイプの分詞構文だと考えている。
しかし、こうした分類を文法書では行っていないようだ。
おもしろいと思うのは、私が高校生のころに使っていた文法書「総解英文法(高梨健吉著)」のP478には次のような例文があり、この場合を「付帯状況」に分類している点だ。
The lamp suddenly went out, leaving us in utter darkness.
これは、「ランプが消えた」ことによってもたらされた「結果」であることは明白。
ということは、"leaving"の意味上の主語は"the lamp"ではなく、主文の文全体。
(7)は珍しく、文頭で用いられた分詞構文。学校で習う書き換えにはぴったりで、分詞の部分は、"Since I saw kindness..."と書き換え可能。
この文の場合のように、学校で習う分詞構文の書き換え公式がぴたりと当てはまる例は非常に珍しい。
以上は小説、物語で見つけた分詞構文の実際の使用例。これが、評論、新聞記事の中で用いられる分詞構文となると、また事情が異なる。
そのことはまた次回で。