一見栄、二男、三金#3

性選択(性淘汰ともいう)は、生物個体が受ける淘汰の契機のひとつ。性選択にも二種類あって、同じ種類の同性(たいていオス)との、異性(たいていメス)を巡る競争と、たいていはメスによるオスのえり好みがある。
ある生物個体が生き残るためには、その環境により適した形態、能力を持たなければならず、こちらはよく知られた自然選択(自然淘汰とも言う)だ。
性選択のうちのオスの間の競争は、より力の強いもの、能力の高いものが勝ち残ることになる。
ところが、最後のメスのえり好みに関して言えば、それを満足させる形態、能力は生存のために役立ちそうなものはほとんど無い。むしろ、生存のためにはかえって不利になりそうなものが多い。
多くの種類の鳥のオスは囀ることでメスを呼び寄せる。しかし、同時に天敵に自分の存在を教えているようなもので、天敵に襲われるリスクが高くなる。
さらに、ニューギニアにたくさんの種類が生息するゴクラクチョウには、ど派手な羽色を持つものや、恐ろしく長い尾羽を持つものなどがいる。
下記のサイトが参考になる
http://ym-soshigaya.blog.so-net.ne.jp/archive/20130219
派手な色は、当然目立つから、天敵からすれば、見つけるのがたやすいし、長い尾羽は飛ぶときに邪魔にしかならないから、動きが悪くなり、これも生存には不適だ。
この生存には適さない形質がメスによって選ばれる理由を、自然選択と同じ原理で説明しようと、いろいろな説があるようだ。
素人の考えだが、メスのえり好みは生存の確率とは全く無関係で、単にメスの気まぐれなのではないかと思う。
そして、その気まぐれあるいはわがままといってもいいと思うが、それを可能にするのが、鳥が持つ特殊能力、つまり飛べるということにより、地上に棲むしかないほかの生物種より、自然選択による淘汰圧がずっと少ないからだではないだろうか。
ゴクラクチョウの場合だと、さらに、天敵が不在であることが独特の形態を可能にしたといえる。
こういう条件の下では、メスはオスを選ぶに当たって、わがまま放題、何でもありになる。
メスの選ぶ条件がある方向に偏れば、一気にその好みを満足させるための形質が種の中に蔓延し、どんどんその形質を強める方向に進化が進む。
ゴクラクチョウの生存のための形質を度外視したような形態は、メスの好みが究極までエスカレートした結果なのだと思う。
落語の言葉の「一見栄、二男」との関係で言えば、ど派手ないでたちはまさしく、一見栄の条件に合致する。
二男は鳥が顔で相手を選ぶというのは聞いたことが無いので飛ばすとして、三金はオスの縄張りの広さや、条件のよさがこれに当たるだろう。