知性が大事#2

知性が人間の徳目の最上と物とする文化では、人間は陸の生物の王者だ。そして海の王者がクジラ類ということになる。
人間は科学的知見によって陸のことに関しては多くのことを知っている。しかし海のこととなるとほとんど何も知らない。
海の王者であるクジラ類は人間がどんなに頑張ってもほとんど何も知りえない深海の事もよく知っている。
欧米のクジラ類の研究者たちは言語能力を有すると考えられるクジラたちから、人間が知りえない海のことを彼らの言語を通じて解明しようとしている。
下記のサイトはクジラとのコミュニケーションを取り上げたものだ。
http://www.interspecies.com/index.html
将来的には人類は、海底に居住空間を築いていかなければ、人類文明を継続していけなくなるだろう。
そうしたときには、高い知能を有するクジラ類の助けがなくては作業は全くはかどらないに違いない。
欧米の研究者たちはそうした未来図を念頭に置いた研究を行っている。
そうするためには、単にクジラ類の研究をするだけではなく、言語能力という高い知性の持ち主たちであるクジラ類に敬意を表する必要があると考えているのだ。
クジラを食用にするという日本人の行為はこの考え方を根底から揺るがす蛮行に他ならない。
クジラ類を食用にするということを伝統的食文化であると主張することは、日本人は上記のような考え方を評価しないということを主張していることになる。
前回記事で引用した記事には、次のような記述がある。

追い込み漁を「残酷」だとして、04年秋にWAZA総会で初めて日本側への非難決議が採択されて以降、JAZAはWAZAに対し、どこが残酷なのかと問い続けてきたが、現在まで明確な回答はない。

問うまでもない自明の理に対して「どこが残酷なのかと問い続けてきた」ということも欧米諸国に対し、「日本人はあなた方の考え方や価値観を全く評価しない」という強いメッセージを出し続けてきたことになる。
実際、欧米諸国の反捕鯨団体は日本人のこのような主張を、反捕鯨国に対する文化戦争の宣戦布告であり、自分たちの行動は捕鯨国に対する反撃だと捉えている。
米国で人気の番組に"Whale Wars"というアニマルプラネットの番組がある。内容は日本の調査捕鯨に対する妨害行為を英雄的に取り上げる番組なのだが、米国の視聴者はほぼ全員が妨害行為を行っているシーシェパードの味方であり、敵役は日本全体だ。
断っておかなくてはならないのは、英米反捕鯨団体は実際の捕鯨を行っている漁民だけを攻撃対象としているのではなく、これを食文化とする日本国民全体を敵とみなしていることだ。
http://www.animalplanet.com/tv-shows/whale-wars/
アニマルプラネットは日本でもケーブルテレビで放送を見ることができる。しかし、"Whale Wars"は日本では放送されない。
捕鯨は日本ではタブー視されるのか、、もはやそれを基点とした反日運動といってもいいような欧米での諸事情を伝える番組や報道がまったくといっていいほどない。