知性が大事#30

ホームステイ先から学校まではホームステイのお父さん、デニスの自転車を貸してもらうことになっていた。
ところがこの自転車というのが、日本人でも背の低いほうの私にはちょっとばかしでかすぎる27インチ自転車。
デニスは私より10cm以上背が高く、必然的にサドルの位置がどうしようもなく高い。
工具を借りて、サドルの位置を一番下に下げたが、それでもペダルに足がやっとのことで届くほど。
週末にはデニス自身がこの自転車を利用するので,サドルの位置を上げる。それをうっかりしていると、月曜日の朝にえらくあせることになるということの繰り返しだった。
日本の自転車なら、サドルの上げ下げのためのレバーが付いているのが普通だが,オーストラリアの自転車にはそんなものはない。
普通のボルトで止めてある。これをあんまり精度の高くないレンチを使って緩めたり締めたり。滞在してしばらくしたら、このボルトが丸くなってしまった。
まあ、それでも自転車が使えるのは、とてもありがたく、暇があれば、自転車に乗って、あちこちに出かけた。
さて、学校に到着して、まずは校長先生との面会。校長先生は気さくで明るい女性だった。体型は白人の中年女性にありがちなポッチャリ型。
校長先生は私をこれから学ぶことになる教室まで案内してくれた。そこでクラス担任やクラスメートたちとの対面。
このクラスの担任も女性だった。そして、クラスメートはというと、まるで中学校のクラスかと思うほど若い生徒たち。
生徒たちの多くはタイ人だった。年齢からすると日本の高校生ぐらいなのだが、よく言えばすれていないというか,年齢よりも幼く見える生徒が多かった。
日本では学習塾で教えていたから,その生徒たちとほとんど同年代の子供と席を同じくすることになった。
私のほうはこうした状況でも特に違和感も何も感じなかったが,若い生徒たちにしてみれば,先生と同じ世代の人間がクラスメートになることに少々戸惑いがあったかもしれない。