英語の冠詞2

さて、「英語の冠詞1」で掲げた穴埋め問題。
その解答と解説を行う。
その前に問題を再掲しておく。

One day (ア) little box with (イ) slot in (ウ) top and bearing (エ) sign "For (オ) blind" appeared on (カ) storekeeper's counter. His customers, with commendable sympathy for (キ) unfortunate, contributed generously of their change. After about (ク) month, (ケ) box was missing.
"What happened to (コ) collection box for (サ) blind?" asked one.
(シ) shopkeeper chuckled and pointed to (ス) window.
"Oh, I collected enough," he said. "There's (セ) new blind."

解答と配点
(ア) a (イ) a (ウ) the (エ) a (オ) the (カ) the (キ) the (ク) a (ケ) the (コ) the
(サ) the (シ) the (ス) the または a (セ) the

(ア)〜(エ)は各1点、(オ)は5点。(カ)〜(コ)は各1点、(サ)(シ)(ス)は0点。
(セ)は6点。以上合計20点。

解説
(ア)には不定冠詞を入れる。物語であれ、新聞記事であれ、これまでに言及のない新情報の可算名詞には、その事を知らせるためのaをその名刺の前に置く。
その名詞の存在を相手に知らせることが重要である場合には、"There is/was a..."と切り出すが、この文のように、「何がどうした」ということが大事な場合は、新情報であっても文頭の主語として用いる。
(イ)もその箱に関する新情報。
(ウ)には定冠詞。ここがなぜ定冠詞になるかを説明できるだろうか。
たいていの場合、ここが定冠詞なのはその前にある"a little box"に関連したものだからという説明がなされる。
しかし、その説明では不十分だ。その説明だと、その前の"slot"にはなぜ定冠詞を用いないのか、その理由がつかない。
関連の"the"であることは間違いないが、それだけではなく、通常"box"といえば、直方体のものであることが常識で、そうした形状のものであるなら,必ずトップがひとつだけあるから"the"を用いる。
一方、"box"だからといって、そのトップに穴があることは前提としてない。つまり新情報。だから"the"ではなく"a"なのだ。
(エ)も新情報。
(オ)は(セ)とともに、このジョークに関して最重要部分。
募金箱のようなものが店のカウンターに置かれているこの状況では,"the blind"で、一般的に目の不自由な人を表すととるのが普通。
(カ)は"box"が置かれている店の店主だから、定冠詞。
(キ)は"the blind"の言いかえ。
(ク)一ヶ月という、特定ではない、一まとまりの期間を表すので不定冠詞。
(ケ)と(コ)はこの文章の前の部分に出てきた箱のことだから。
(サ)は(オ)と同じものが入ることが明白なので、得点なし。
(シ)は同じく、(カ)と同じものが入ることが明白。
(ス)は定冠詞でも不定冠詞でも成り立つので,やはり得点なし。
(セ)は、箱に書いてあった"the blind"が実際に意味していたものはそれだということを表すためだから、定冠詞でないといけない。
ここを"there is..."で始まる文だからというので、a にしてしまうと、この話はジョークとして成り立たなくなる。
以上、解答と解説。問題に挑戦してみて、得点はどうだっただろうか。
空白ひとつに対して各一点というような配点はしていない。それぞれの難易度、重要性がまるで違うのに、同じ一点とするほうがおかしい。
この配点で、5点以上の得点ができないようなら、冠詞の知識はほぼゼロといってよいと思う。