A friend in need

昨日の読売新聞に、ある週刊誌の広告が出ていた。記事の見出しのひとつに次のようなものがあった。

友達のふりをして「利用していただけ」の彼らはみんな消えた
こんな清原和博の面倒をいまも見ているのは誰?

実際の記事を読んでいないので、記事の論調がどのようなものかは知らない。
ただ、この見出しだけから言うと、件(くだん)の元選手を取り巻いていた人たちが離れていったことは十分伺える。
当然といえば当然のことで、このことである英語のことわざを思い出した。
表題がそのことわざの出だしの部分で、中学生の頃、私が使った英語の教科書の最後のほうにでていた英語のことわざのひとつだ。全文は次のようなもの。
"A friend in need is a friend indeed" (困ったときの友こそ真の友)
このことわざの,"in need"の部分を節に直すと次のようなものになる。
"who helps you when you are in need of help"
しかし、通常の英語感覚からすると、上記のような意味にはならない。
"in need"の部分は、直前のfriendを限定する形容詞句と考えられるから、この部分を節に直すと次のようになる。
"who is in need of help"
すると、全文は次のようになり、意味もがらりと変わる。
"A friend who is in need of help is a friend indeed" (困っている友達こそ真の友)
この英文の関係代名詞は、いわゆる制限用法。先行詞の前が不定冠詞の場合は,このブログの「制限(限定)用法の関係代名詞」の記事でも述べたように,関係詞節の条件で友達の種類を分類している。
つまり、話者にとっては特定の,聞き手にとっては不定の「ある友達」のことを言っているのではなく,そういう条件に当てはまる友達全般のことを言っている。
さらに、制限用法の性質から、この文で、その条件に当てはまらない友達との対比が行われている。
つまり、上記の英語は、困っていない友達は真の友達ではないことを意味している。
大体、普通に考えれば、困った状態にある友達は、全然ありがたくない。
経済的に行き詰っているのなら、いつ何時、金の無心にやってくるかわからない。
この記事のような場合、付き合いが深いと,警察から痛くもない腹を探られかねない。やばくなる前に、付き合いをやめるのが得策だ。
英語国民も同じで、先のことわざには、ブラックバージョンがいくつもある。
その中でも私が秀逸だと思うものをひとつ。
"A friend in need is a friend you don't need" (困っている友達は要らない友達だ」
こちらのブラックバージョンのほうがはるかに現実的だ。最後の部分がちゃんと韻を踏んでいるところが素晴らしい。