ポケモンGO狂想曲4

武田教授の意見で私が注目したのは、第四段落の「一方で…」から「経済的効果も期待される」にかけての部分と、第五段落「だが、それは…」の部分から、「不安も伴う」の部分。
NHKの番組で、たくさんの日本人の位置情報をほぼリアルタイムで捕捉し、これを解析できる技術がすでに実用段階にあることを紹介していた。
NHKはこの情報ソースをビッグデータと呼んで、スーパーコンピューターによるビッグデータの解析により、様々の応用ができることを示していた。
災害時の避難誘導など、多くの有益な使い方が示されていたが、私は一方で、私たちの行動が逐一見張られているような不安を覚えた。
しかし、NHKの番組での位置情報は、言ってみれば、人間の行動観察の拡大版だから、さほど心配する必要はない。
しかし、ポケモンGOの場合には、単に人々の位置情報を捕捉するだけでなく、行動を誘引するツールが出現したことになる。
ゲームをしている人たちは、自分たちが進んでポケモンを見つける行動を自らの意志で行っているように思っているだろうが、その行動は、あらかじめ意図的に配置されたポケモンの位置によって既に決まっているようなものだ。
ゲームをしている人たちの行動は、すべてモニターされ、データ化されているだろう。
これは迷路実験で、迷路に入れられたマウスに等しい。行動は、逐一、高い位置から、観察者によって、観察されている。
このゲームがそもそも、何のために無料で公開されたかを考えると、一つの答えが出てくる。
答えは、即座にたくさんの人々の行動を、支配しようとする意図が存在するということだ。
その意図とは、たぶん軍事に関するものだろう。
もともと、インターネットは米国の軍事目的のツールとして開発された。開発当初から、その背景には、データの軍事利用の意図が隠されていたに違いない。
グーグルがそうしたデータの軍事利用に加担しているかどうかはわからないが、データとして存在するなら、それは間違いなく誰かがそれを利用できるということだ。
かつて、大衆を動かす手段は、政治的プロパガンダ、映画などのメディアを通じてのPR活動などであったが、もっと早く、もっと効率的に大衆を動かす誘因が必要な時代になっている。
ポケモンGOは、今という時代に不可欠な、人間の即時的大量動員のツールづくりのための壮大な社会実験なのだと思う。