野菜の効用

「ベジファーストでダイエット!」などというスローガンには疑問符が付くが、野菜をたくさん摂る事にはやはりメリットが多い。

野菜の効用はなんと言っても各種のビタミン、抗酸化物質が含むものが多いということだろう。それから善玉ミネラルといわれるカリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含むものがあり、たくさんの種類の野菜を食べる事で体の調子がよくなる。

ただ、体によいとされる上記の物質も食物繊維の場合と同じで含有率はどれも多くはない。

善玉物質の効果、効能を期待できるのは、たくさんの種類の野菜をかなりの量を摂取した場合に限る。

厚労省のサイトでは、一日あたり、350gの野菜の摂取を推奨している。

一日あたり350gの野菜。なかなかハードルが高い。

ところで、野菜の効能で、最近耳にする事が多いのは、酵素という言葉。

酵素は人間が生きていくうえで、とても大事な働きをしている。そして、野菜にはたくさんの酵素が含まれているので、野菜をたくさん食べる事で健康になれるといった趣旨のことがネット上で語られている。

さらに、たくさんの野菜を摂るのが面倒という人のためにというのだろうか、たくさんの野菜から抽出した酵素エキスというもの健康食品として売っている。

酵素というのは、簡単に言うと、ある生体にとって必要な物質を作り出すための製造工場のようなもので、人間の場合だと、食べたものを消化したり(消化酵素)、活動のために必要な物質を作り出したり(代謝酵素)する働きをしている。

人間だけでなく、すべての生物のそれぞれの細胞に酵素は存在し、それぞれ独自の働きをしている。

独自の働きをする。つまり酵素はものすごく種類が多いのだ。人間の場合の生理機構も実に様々だから、人間が持っている酵素の種類もたくさんある。

植物も、その生命活動のために必要な物質を作り出すために、様々な酵素を持っている。

しかし、人間と植物ではその生理機構がまったく異なっているのだから、植物から抽出した酵素を人間が口から摂取して、それがどのように人間の体に役に立つのか。

酵素エキスを売りにした商品の、商品説明を読んでみても、その点に関して説明してあるものは一つとしてない。

酵素は、ある特定の条件がそろった場合にしか働かない。たとえば人間の消化酵素には、いくつか種類があるが、たんぱく質、脂質、炭水化物それぞれの分解は別々の消化酵素が担当し、その消化酵素を分泌する臓器もそれぞれ別のものだ。

植物から抽出した酵素を口から摂取して、さて、人間の体のどこでどのような作用するのか。何の説明もない。

生きた植物酵素を売りにする健康食品はどれも値段が張る。それなのに肝心の効能を科学的に説明したものは皆無だ。