腸活20

IBSの症状を軽くする食事療法として低FODMAP食というのがある。これはFODMAPが何を意味するかから話を始める必要がある。

FODMAPとネットで検索してみるとWikiの英語版のみがヒットする。それで英語版での説明を次に引用する。

FODMAPs or fermentable oligosaccharidesdisaccharidesmonosaccharides, and polyols[1] are short-chain carbohydrates that are poorly absorbed in the small intestine and ferment in the colon.

訳すると、「FODMAPとは発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類およびポリオール類を言う。これらの糖は小腸内ではほとんど吸収されず、大腸内で発酵する。

そして、低FODMAP食とは、そういう糖類をあまり含まない食材を中心とした食材で構成された食事療法のこと。

FODMAPで検索するとたくさんのNG食材がでてくるが、その多くが腸内環境を整える食材として推奨されているものだ。つまり、乳酸菌やビヒィズス菌のプレバイオティクスになるもの。

江田証という以前に「すごい酪酸菌」という本の著者を紹介したが、この人の別の本、「新しい腸の教科書」には、たくさんのNG食品が挙げられている一方で、OK食品もたくさん挙げられていて、何を食べればいいのか、なぜこの違いがでてくるのかぜんぜん分からない。

やはり、乳酸菌やビヒィズス菌ばかり優遇するような食材の多量摂取に問題があると私には思える。

それではということで、酪酸菌のみの育成のための食材を捜すことにした。

ネットでの検索ワードを「フィーカリバクテリウム 育てる」というような検索ワードで見つかったのが、以前に挙げたブロッコリーやキャベツといったナタネ科の野菜。そしてもう一つが高カカオチョコレート。

しかし、この二つが酪酸菌にのみ有効なのかどうか。乳酸菌やビヒィズス菌のエサにもなるのだったら意味がない。

さらに検索を進めていくと、ある製粉メーカーのサイトで興味深いものを見つけた。

メーカーのそのページにはアニメを使った動画が埋め込まれていてたいした内容ではないだろうとは思いながらもみて見ることに。

その動画があるサイトは次のとおり。

上記サイトの中で使われている「発酵性食物繊維」というのは、大腸内の腸内細菌の活動で代謝されるのが発酵性の食物繊維、そうではないものは非発酵性食物繊維ということで、水との親和性で水溶性か不溶性かで分けるやり方は腸活の観点からは正しくないとの理由からこうした表現を使っている。

アラビノキシランとは植物のカラダの主要な構成体であるセルロースやリグニンと結合して、植物体の強固な種皮や外皮を形成しているヘミセルロースの一種で、多糖類に分類できるもの。

セルロースと結びついている場合には、大腸内でこれを代謝できる菌はほとんどいないため、大腸内をどんどんスルーしていく。

そのためネットでヘミセルロースを検索しても不溶性食物繊維の一種として扱われ、便の嵩を増やして便通を促すというような効用しか書いていないことがほとんど。

しかし、酪酸菌が住んでいる下行結腸までやってくると、セルロースを分解する酵素セルラーゼの働きにより、ヘミセルロースの部分がセルロースやリグニンから分離され、これをエサに酪酸菌が活性化する。

まさしく、酪酸菌御用達の糖類なのだ。

このアラビノキシランをたくさん含んでいる食材のひとつが小麦ブラン。小麦ブランのという名前には聞き覚えがあったので、このワードで検索をかけると、以前朝食のシリアルとして食べていた某メーカーのシリアルがたくさんヒットした。

スーパーで買ってきて箱の後ろを見てみると、アラビノキシランをたくさん含んでいることがしっかりと書いてある。

アラビノキシランの効用はダイエットや健康法といったことに熱心な人が多いアメリカではずっと以前から知られていたことらしく、私が知らなかっただけらしい。

次回は、このアラビノキシランを含む小麦ブラン以外の食材や、ほかの酪酸菌御用達の食材を紹介する。