腸内で有益な働きをする菌を含む食材なりサプリメントをプロバイオティクスという。乳酸菌のプロバイオティクスの代表が乳酸菌で発酵させたヨーグルト。実に多様な種類のヨーグルトがスーパーの棚に並んでいる。同じく多種類なのが、乳酸菌飲料。
それに比べると勢力は劣るものの、ビヒィズス菌ヨーグルトにビヒィズス菌飲料もスーパーでよく見かけるもの。
さて、これらの食品なり、飲料を飲むことで腸内細菌の勢力図にどれほどの影響があるのだろうか。
まず、乳酸菌ヨーグルトの主要メーカー数社のサイトを見て、これらのメーカーの製品摂取して、腸内乳酸菌の勢力図に影響しているかの説明があるかを見てみる。
ネット検索でそれぞれのオフィシャルサイトを検索した結果は次のとおり。
Y社・・・脂肪の吸収を抑制とか免疫力増強などの機能性を謳ったヨーグルトと飲料を販売。しかしそのどちらのサイトにも菌数に関する記述なし。
M社・・・M社のヨーグルトおよび乳酸菌飲料のどちらにも腸内菌数への影響に関する記述なし。
K社・・・免疫増強を売りにするヨーグルトと飲料があるが、やはり腸内菌数に関する記述はない。
以上のサイトを見る限り、プロバイオティクスとしての乳酸菌ヨーグルトおよび乳酸菌飲料で腸内の乳酸菌数が増えるということはなさそうだ。
腸まで生きて届くというような宣伝文句も聞こえてくるが、生きて届くからといって、そこに定着し、乳酸菌数の増大につながるとはいえない。
次にビフィズス菌を使ったヨーグルトや飲料のメーカーのサイトを見てみる。
M社・・・ビヒィズス菌を使ったヨーグルトメーカーの雄であるM社。その主力商品の公式サイトを見ても、加齢による大腸内のビヒィズス菌減少については説明があるものの、同社のヨーグルトを食べることによるビヒィズス菌の増加かするのかどうか、それについては何も語っていない。
D社・・・緑色のパッケージの商品がビヒィズス菌を用いたヨーグルト。このヨーグルトのNEWタイプの公式ページには、このヨーグルトの摂取により善玉菌が2.7倍に増加したという検査結果を挙げている。そのページのURLは次のとおり。
https://www.danone.co.jp/bio/zendamakin/
しかし、このページを良くみてみると、このNEWタイプにはガラクトオリゴ糖が添加されている。ガラクトオリゴ糖というのはガラクトースという単糖が複数つながったオリゴ糖の一種で、小腸で消化されることなく、大腸にまで届いてビヒィズス菌をはじめとする善玉菌の増殖に効果があるとされているもの。
この効能がみてめられて、いわゆる特定保健商品として販売されている。
つまり、善玉菌が増えたといっても、それは添加してあるガラクトオリゴ糖の手柄であり、同社ヨーグルト製品のビヒィズス菌が大腸に定着し、ビヒィズス菌全体の菌数を増加させたかどうかについては不明だ。
G社・・・同社のヨーグルトには、ビヒィズス菌だけでなく乳酸菌も配合されている。そして、添加物としてイヌリンが使われている。
イヌリンは水溶性食物繊維の一種。D社の添加物ガラクトオリゴ糖と同じく、大腸内のビヒィズス菌を増やす働きがあるとされる。
もっとも、イヌリンはそうした効果より、糖の吸収を抑える働きで人気。私も食前にイヌリンのタブレットを飲んで血糖値の急上昇を抑えている。
実際、イヌリンの実質量、2gを食事の前に服用しておくと、血糖値の上昇がかなり抑えられることがフリースタイルリブレによる計測ではっきりしている。
それはともかくも、G社のヨーグルトに関しても、そのサイトでビヒィズス菌そのものが増えたことの説明はない。そのサイトのURLは次のとおり。
以上のことから、エンテロタイプDのLactobacillus菌とBifidobacterium菌の腸内での占有率が他のタイプよりかなり高い理由として、ヨーグルト中の菌がプロバイオティクスとして働いたからではないとわかる。
それでは何が原因でそうなるのか。次回はその点を掘り下げることにする。