カタカナ語乱用

NHKの朝の番組で、若者の市販薬乱用というのを取り上げていた。いわゆる違法薬物ではなく、合法の鎮痛薬などを適性使用量を超えて服用するという問題のことらしい。

このことをカタカナ語で「オーバードーズ」と表現するのが通例らしく、番組でもこの言葉が用いられていた。

ネットでこの「オーバードーズ」を検索すると、かなり以前から使われているようだ。英語では、'overdose'で発音は「オウバードウス」というような発音になる。

私が好きなアメリカのドラマでは、しょっちゅう出てくる単語。今日の午後2時からのCSIでもこの単語が出てきた。

英語の単語が元になるカタカナ語を使いたがる日本人。元の英語をなるべく正確にカタカナ語に置き換えるならともかく、不自然な音の変換を伴うカタカナ語ははっきり言って耳障りだ。

このオーバードーズも番組中で使われたとき、薬物の使用により、長い居眠りが起きることかと勘違いした。

なぜなら、'doze'という単語があり、これは居眠りすること。発音は「ドウズ」。

oversleepという単語だと、「寝過ごす」という意味だから、その連想でovdrdozeで「居眠りしすぎ」で何らかの失敗をしてしまったのかと思ったわけだ。

オーバードーズ」なるカタカナ語を一体、誰が最初に使い始めたのか知らないが、doseの最後の部分を濁った'z'の音で表したことから、あまり英語に詳しくない人物だと分かる。

まあ、動詞chooseは、「チューズ」だし、その過去形のchoseも「チョウズ」と発音する。また、接続詞のbecauseも「ビコーズ」だから、doseのseの部分も濁った発音になると思ったのだろう。

しかし、seをつづりに含む語は、その部分を濁った発音にするものばかりではない。馬はhorseで「ホース」だし、ヘラジカはmooseで、発音は「ムース」となる。

また、逆にゴムやプラスチックでできた長い管のことをカタカナ語で「ホース」と言うが、これはhoseで、発音は「ホウズ」が正しい。

要するにカタカナ語は、その多くが元の英語からすると、発音も使われ方もでたらめなのだ。

なぜ、正確な日本語を使わずに、カタカナ語にするのか理解に苦しむ。「オーバードーズ」も日本語で薬物過剰摂取といえば済むことなのに。

それはともかく、この過剰摂取、他人事とは思えない部分がある。以前、重症の帯状疱疹にかかったとき、大量の鎮痛剤が処方された。カロナールにリリカ。

カロナールは効き方が穏やか、つまりあまり効かない。それではというので処方されたのがリリカ。こちらのほうがよく効いた。

帯状疱疹のすさまじい痛みを和らげるため、カロナールとリリカの併用が常になってしまった。

そして、痛みがあまりしなくなってからも、大して必要もないのに、大量に余ったリリカを飲むようになってしまったのだ。

私には、かなり前に、咳止め薬を必要もないのに、アルコール類に混ぜて呑むという習慣が付きかけたことがある。

強烈な酔いが訪れるこの飲み方は一つ間違うと命を落とすかもしれないそうで、私はすぐ止められたが、人によっては習慣になってしまって止められない場合もあるだろう。

覚せい剤や麻薬は法律による規制が厳しい。しかし、市販薬でも大量に摂取すれば酩酊状態になり、それと引き換えに健康や命を脅かすものもあるはずだ。

鎮痛剤系の薬剤は基本、処方箋がなければ手に入らないような規制が必要なのではないだろうか。