腸活18

エンテロタイプDのビヒィドバクテリウムの多さの原因が何か。ヒントになるのはビヒィズス菌ヨーグルトメーカーのD社とG社の製品。それぞれ、ヨーグルトにガラクオリゴ糖、イヌリンをを加えている。つまり、これらの食物繊維がプレバイオティクスとして働き、腸内のビヒィズス菌の菌数を増やしている。

しかし、Type Dのようなビヒィドバクテリウムを腸内にたくさん持っている人すべてがD社、またはG社のヨーグルトを毎日のように食べているとは到底考えられない。

ビヒィドバクテリウム過剰という現象を起こしている犯人は誰か。

TypeDには、ラクトバチルスも多かった。ここで、思い当たるのは、ラクトバチルスとビヒィドバクテリウムの両方のエサになるのが、乳糖であることだ。

乳糖は牛乳などの動物の乳汁に含まれる二糖だ。二糖とは、二つの異なった糖の分子が結合したもの。乳糖の場合、グルコース(ブドウ糖)とガラクトースが結合したもの。

乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)は乳児には備わっているが、成長に伴って必要がなくなるため、日本人の場合、大人になってもこの酵素を持っている人はいない。

ここで言う日本人は日本の国籍を持っている人という意味ではない。

日本人だけでなく、酪農の長期の伝統のない東アジア全体でこの酵素を持つ大人はほとんどいない。

いわゆる乳糖不耐性というのは、牛乳を飲んだときに腸の調子を崩すことを言うのだと思っているかもしれないが、実際には、日本人の大人全員に当てはまる。

それにもかかわらず、牛乳で全員が腸の調子を落とすわけではないのは、腸に届いた乳糖をまずは乳酸菌が乳糖から乳酸を産生し、乳酸菌が分解し切れなかった乳糖を今度はビヒィズス菌が大腸で乳酸と酢酸に代謝する。

腸内に十分な数の乳酸菌やビヒィズス菌が定住していれば、乳糖不耐性による下痢症状も出ることはない。

乳糖はこれら二つの菌のプレバイオティクスとして働くわけだ。それにより、乳酸菌、ビヒィズス菌ともにその菌数を増加させると考えられる。

このことは次のサイトで確認できる。

上記のサイトは牛乳にまつわる悪いうわさに一つ一つ反論を加え、消費の減少に歯止めをかけるためのもの。

牛乳で下痢を起こす人は人から言われなくても牛乳を飲まなくなる。下痢を起こさない人は飲み続けるだろう。

となると、なまじ下痢を起こさない人のほうが、実は腸内細菌の状態が悪くなる可能性があるということ。

乳糖は何も牛乳にだけ含まれているのではない。牛乳を材料としたさまざまな食べ物にも当然含まれている。

いわゆる洋風の食べ物には牛乳の成分が含まれていることが多い。意外なところでは調味料の多くに乳糖が含まれている。

乳糖は血糖値をあげないし、そのほのかの甘みが料理のコクになるので調味料として使われる。

それと知らないうちに、乳酸菌やビヒィズス菌を増やす働きのある乳糖をせっせと摂取している人はたくさんいそうだ。

ビヒィズス菌の場合、その菌数を増加させるのは、いわゆる水溶性食物繊維の多くがそうだ。

ビヒィズス菌は絶対的善玉と一般的には考えられているため、水溶性食物繊維を腸活の一環として摂取を心がけている人もいるだろう。

いくつかの条件が重なった場合に、腸内細菌中のビヒィドバクテリウムの占有率か20パーセント超になったりするのだろう。

しかし、Type Dがはらんでいる問題は決して看過できないと思う。

この問題は次のサイトでも取り上げていた。


上記サイトの説明の中の IBDとは、腸管が炎症を起こし、慢性的な下痢や腹痛を起こす炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)。主に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」を指し、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性疾患のこと。

重大な病気を発症するかもしれない危険性をはらむビヒィドバクテリウム過剰状態。

そして、これを引き起こす可能性の高い、乳糖や水溶性食物繊維の過剰摂取。

次回はこの問題をもう少し検討してみる。