上記の画像は日本人のエンテロタイプの分類として始めて大掛かりな調査の結果をグラフにしたもの。雑誌等の発表ではこのグラフをもとに簡略化したものが掲載された。
この研究で問題視されたのがType D。さまざまな健康リスクをかかえているとして、学会の発表でも一番の注目を惹いたタイプだ。
この画像をもとにType Dの特徴を見てみると、一番目に付くのがBifidobacteriumの占有率の高さだ。横文字ではわかりにくいが一般的にはビフィズス菌として知られている菌だ。占有率をグラフから測ると22.5パーセントある
ビヒィズス菌が多ければ健康によさそうと思われているが、どうやらそうではなさそうだというのが、学会発表でも注目を浴びた理由のようだ。
ビヒィズス菌に対して、健康維持に必要だとされる酪酸菌はどうだろう。
このグラフの右側にある菌名の一覧から 酪酸菌を探してみると、次の6種類が見つかる。
1. Faecal. (フィーカリバクテリウム)・・・6%
2. Copro. (コプロコッカス)・・・3.5%
3. Rose. (ロゼブリア)・・・3%
4. Lachno. (ラクノスビラ)・・・1.5%
5. Clost. (クロストリジウム)・・・1%
6. Anaero. (アナエロスティペス)・・・0パーセント
以上、酪酸菌群の合計占有率は15パーセントになる。酪酸菌群の占有率は良好といえるが、ビヒィズス菌の占有率が22.5パーセントだからビヒィズス菌の占有率のほうがかなり高い。
ビヒィズス菌は代謝産物として乳酸と酢酸を産生する。酪酸菌はその両方をエサとして代謝するが、ビヒィズス菌が多すぎるとその代謝物を消費しきれない。
その結果、大腸内の酸性度が上がりすぎると考えられる。この酸性度の高さが数々の問題を引き起こす。
江田証(えだあかし)という胃腸の専門医の著書「すごい酪酸菌」の153ページから、155ページの記述を引用する。
一般的に短鎖脂肪酸というと「腸内細菌が作り出してくれる健康や美容によいもの」と考えられています。しかし、酢酸やプロピオン酸と酪酸は同じ短鎖脂肪酸ですが、腸への作用は異なります。
酪酸が産生されると腸の粘膜の健康は維持され、酢酸とプロピオン酸が産生されると、粘膜の透過性が亢進し、リーキーガットとなり、病的な状態になるのです。
つまり、乳酸から酪酸が産生されるか、酢酸とプロピオン酸が産生されるかによって、天国か地獄か、運命が分かれるということです。
大腸内での過剰な酸性物質はどうやら、問題が大きそうだとわかる。
次回はこのType D問題を深堀してみる。