見ざる言わざる1

テレビや新聞を見ていると、相変わらず、危機意識の希薄さが原因と思われる事故、事件のニュースが絶えない。
福岡で病院が火災となり、たくさんの入院患者が犠牲になった事件。病院経営者の防災意識の欠如が大きな原因であることは間違いない。
しかし、この防災意識の欠如、これを危機意識の欠如と言い換えてもいいと思うが、これは、ほぼ全ての日本人に見られる傾向で、例外を探すのが難しい。
病院には火災報知器は設置されていたようだが、それが正常に作動したかどうかが怪しい。さらに、防火扉が閉まらなかったようで、火災に対する備えが十分ではなかったようだ。
驚くことに、日本では相変わらず、たくさんの人間が収容される設備においても、いまだにスプリンクラーの設置義務がないことだ。
以前の記事"Bury the Head in the Sand"でも言及したが、オーストラリアでは一般家庭でさえ、各部屋へのスプリンクラーの設置が義務付けられている。
火災への備えが、法律のレベルでも大きく差がある。こうした差を生むのが、一人一人の危機意識の違いだと私には思える。
日本人は、起きて欲しくないことをなるべく考えないようにする傾向が著しい。まして、それを口にすることはタブーですらある。
起きて欲しくないことは、きっと起きないだろうと思うようになり、さらに進んで、そのことは考えもしなくなる。
そうした考え方の人間が多数派である社会では、根拠のない楽観論が幅を利かす。その楽観論をより強固にするのが、日本人にとりわけ強く見られる楽観バイアスだ。
NHKの番組、「試してガッテン」でこの楽観バイアスを取り上げたことがある。