白いネコ現る3

午後9時ごろという遅い時間にもかかわらず、電話を掛けたお宅は家族そろってA川の堤防に現れた猫を確認にやってきた。
猫が現れた場所から程近いところで待ち合わせ、現場まで歩いて行って見ると、ネコはまだ同じ場所、堤防のノリ面にたたずんでいた。
街灯もない真っ暗な場所で、迷子になったネコかどうかは確認が難しかった。
ネコは犬と違って、名前を呼べばこちらに来るとは限らない。家で飼っていたネコも、家の外でばったり出会ったときに、名前を読んでもそばにはよって来なかった。
外出中のネコは、なんというかもう別のネコのような愛想ない表情でこちらに一瞥をくれるだけ。
しばらく外での生活が続いたネコならなおさらだ。慎重に白いネコに近づいて自分のところのネコかどうかの確認をしてもらったが、とても良く似てはいるが、違うかもしれないという結論。
それではということで、捕獲器を仕掛けて、この白いネコを捕まえることにした。
あかるいところで、間近に見れば、結論は出るだろう。
いずれにしても、堤防に現れる白い猫は毎晩、河川敷道路をやってくる私を心待ちにしている様子だ。
これは、このネコが人に飼われていた経験があることを意味している。張り紙を出した家族のネコではなくても、誰かに飼われていたネコだったら、保護して飼い主を探すのがいいだろう。

画像は、実際に仕掛けた捕獲器の様子。河川敷道路近くまで茂った葦の群生の一部を切り拓いて、空間を作り、そこに捕獲器を置いた。
この葦の群落から白いネコが現れたのを目撃したことがあったので、昼間は、この群落に身を潜めているのかもしれない。
そうだとすると、捕獲は意外と簡単かもしれないとこのとき思った。