からだのこと1

読売新聞、10月9日付け朝刊に次のようなコラムが載った。全文を引用してみる。

糖尿病への偏見
暴論・極論で世間の注目を集めようとしたのだから、それこそ自業自得だろう。
長谷川豊というアナウンサーが「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担に差せよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」という文章をネットに書き、多数の抗議を受けて、テレビ番組を降板になった。
彼が主張したのは、人工透析には高額の医療費がかかる。その多くは糖尿病が原因だ。糖尿病は暴飲暴食など自堕落な生活で起こる。それを続けて腎不全になるのは自己責任だから、小冷ほけんで医療費を出す必要はない、という内容だ。
人命無視の物言いは論外として、根本的問題は糖尿病への無理解、偏見にある。
日本糖尿病協会理事長の清野裕・関西電力病院総長は、次のように説明する。
1型糖尿病は生活とあまり関係なく発症する。2型糖尿病は体質の個人差が大きく、同じような生活でも発症する人としない人がいる。東アジア人は肥満でなくても発症しやすい。食事の量や運動不足だけでなく、ストレス、不規則な食事時間、睡眠不足も関係している。
ぜいたく病という見方も間違いだという。「2型糖尿病低所得者層に多い。安くて空腹を満たせるものを多く他減るからで、むしろ貧困病ですよ」
病気の人に冷たい言葉や視線を向ける前に点検しよう。自分の知識は果たして正しいか。

間違った知識つまり、偏見をもとに、自分が正しいとばかりに、暴論を述べる輩は世間にいくらでもいるから、ここでは、長谷川某なる人物に関しては特に何も言及しない。
問題は、このコラムを書いた筆者も糖尿病に関して、どれほど正しい知識を持っているか。
そして、世間一般はどうなのかということだ。
2型糖尿病の発症メカニズムは実はそれほど詳しくはわかってはいない。暴飲暴食はもちろんだが、そうではなくてもいくらでも発症する。
それはなぜなのか。ハイリスクグループがあると思われるが、それはどういう人たちなのか。
この問いに明確に答えられる人がどれだけいるだろうか。
糖尿病患者の多数を占める2型糖尿病の発症メカニズムをうまく説明できるかもしれない、新しい知見に関する番組がNHKで放送された。
題して「あなたの健康が危ない…(以下省略)」。タイトルがあまりにも長いので最初の部分だけにした。
この放送での、一番のキーワードは、「血糖値スパイク」。日本人の場合、食後一時間ほど経つと血糖値が急上昇する人が性別、年齢にかかわらずかなりの頻度で見つかるという事実は衝撃的なものだった。