「つい〜する」の英訳についての考察1

「つい〜する」という表現は日常よく使われる。頻繁に出てくる表現なのに、この表現を英語でいうとどうなるかには、かなりの考察が必要になる。
一部の「つい〜する」と表現される日本語はcan't help 〜ingまたは、can't resist 〜ingが使用可能。
まず日本語の「つい」は、国語辞典でどのように定義されているかを確かめてみる。
次にあげるのは、ネットで利用できるGoo国語辞典によるもの。

[副]
1 そのつもりがないのにしてしまうさま。うっかり。思わず知らず。「つい話し込んでしまった」
2 そのつもりがあるのに、そのまましないでいるさま。「つい言いそびれてしまった」
3 時間・距離などがごくわずかであるさま。ほんの。すぐ。「ついさっき電話があった」「つい目と鼻の先に住んでいる」

国語辞典での「つい〜」の定義、用法の分類は上記のようなものだが、英訳を考える場合、この分類では役に立たない。
それは、can't help 〜ingやcaa't resist 〜ingが適用可能な場合の条件が上記分類とは合わないからだ。
この件に関して参考になるのは「日本人の英文法完全治療クリニック」T.D ミントン著。英和辞典ではほとんど参考にならない。
次にあげるのは同書P208。cannot help 〜ingは、重要熟語として受験生の必須暗記項目になっているが、例文として挙げられているものは、その多くが不適切な例。

cannot help 〜ingは「無意識の行動」に使う
参考書に載っていた例文
Generally speaking, Japanese women can't help giving up their jobs when they have children.

診断
can't help 〜ingは、「自発的でない、無意識な行動」に用いる。「仕事を辞める」のような意識的な行動にこのフレーズを使うのはNG。

それでは同書はcan't help 〜ingの適用条件をどのようにしているかというと

1. 実行を余儀なくされる行動が、
①制御・回避することが困難/不可能 ②自発的でない、無意識なもの(例 爆笑、嗚咽、くしゃみ)など)
2. その行動、およびそれに伴う結果が望ましいものでないこと
3. 当人がその行動を
①実行したくなかった ②実行すべきでなかった ③後悔している

以上の3つの条件をあげている。