「つい〜する」の英訳についての考察2

「日本人の英文法完全治療クリニック」は、また、can't resist 〜ingについては次のように記している。

can't resist 〜ingは「意図的な行動」に使う
参考書に載っていた例文

彼のジョークはとても面白かったので、笑わずにいられなかった。
(✖) His joke was so funny that I couldn't resist laughing at it.

診断
can't resist 〜ingは「意図的な行動」に使うフレーズ。「思わす笑う」のは無意識の行動なので上の文は不自然。

前項ではcan't help 〜ingという表現について、日本の辞書や参考書の例文の多くが、意味を取り違えていることをご説明しましたが、今回はその続きです。よくある例文に、I couldn't help laughing. (笑いをこらえきれなかった)があります。
これは、用法として問題はないのですが、適切な文脈まで紹介されることはまれです。そしてこの場合、文脈こそ重要なのです。例えば、葬儀の最中に、ふとしたことから笑いが止まらなくなった人を想像してください。
それが、I couldn't help laughingにふさわしい文脈です。

resistが意味するもの
日本の辞書や参考書には、can't help 〜ingが、can't resist 〜ingと同義であるかのような解説がよく見られます。これはとんでもない話です!
両者の大きな違いの一つは、前者は無意識の行動に限って使われるのに対し、後者は、意図的な行動についてのみ使われるということです。
そしてもう一つは、resist(我慢する、控える)が、本当は実行したいが、そうすべきでないと自覚している行動である点です。
それゆえ、can't resist 〜ing=can't help 〜ingだということは、I want to=I don't want toだと主張するのと同じぐらいばかげています!
この二つの表現の日本語訳を区別するのは不可能かもしれませんが、だからといって、この二つが同じ意味だというのは、まったく愚かな話です。
では、can't resist 〜ingの典型的な例文を見てみましょう。
・Even though I was already drunk, I couldn't resist opening another bottle of wine. (もう酔っぱらていたが、つい、もう一本ワインの栓を抜いてしまった)
・We couldn't resist buying the house, although w couldn't really afford it.
(本当は手の届く物件じゃなかったのに、どうしてもその家を買わずにはいられなかった)