チャック、マムシにかまれる2

家に帰りついたのが午後9時ちょっと前。もう動物病院はどこも診察時間を過ぎている。
念のために行きつけの動物病院に電話をかけてみたが、やはり診察時間を過ぎていて応答なし。
こうなるとちょっと離れたところにある動物の救急病院しかない。
ここを受診するには予約がいる。診察時間は午後9時からなので、時間的にはぴったり。
すぐに電話をかけてみると予約が取れたので、早速チャックを車に乗せて病院に向かった。
郊外にあるこの病院への道路は、この時間だと混むこともなく、30分もしないで到着した。
玄関のドアはオートロック、インターフォンで来院を告げるとロックを解除してくれる。
ドアをあけて待合へ。この時にはもうマムシの毒の影響でチャックの顔右側にマヒが生じてきていた。
ほっぺたや下唇が腫れて、垂れ下がってきた。よだれがだらだら垂れまくり、待合の床を濡らした。
すぐにでも診察を受け、抗毒血清を打ってもらいたいと思っていたが、診察の順番がなかなか回ってこない。
救急病院なのに、診察が即座に受けられないというのはどういうものか。
以前、この病院に来たときはもっと迅速な診察が受けられたはずなのに。
結局2時間以上待たされてようやく診察。応急措置をしたところで、血清を打ちますかと担当の獣医が聞いた。
当然だろうと思ったが、必ずしも血清は必要ではないようなものの言い方。
打ってくださいというと、まず見積もりを取りますという返事。
毒蛇にかまれたなら、緊急の措置が必要だと思うのに、見積もりを取ってそれから処置を検討してくださいとのこと。
家の建て替えじゃないんだからと思ったが、まあそういうんならということで、見積もりを取ってもらうことに。
で、これがまた大層時間がかかった。いつもならもう寝ている時間なので、待っている間に、椅子の上で思わず転寝をしてしまった。
病院に到着してから3時間近くたってようやく、見積もり書をもって先の担当獣医が診察室に入ってきた。
その見積額、なんと125,000円なり。血清だけで54,000円。処置も含めると80,000近く。
なるほどこれでは、先に見積もりを取って、料金を納得した上での処置でないとトラブルが起きそうな額。
その額で構わないから、処置をお願いしますといったら、前金が原則だという。
毒蛇にかまれて慌ててやってきたのに、そんな大金用意しているわけがない。
そのことを告げると、少なくとも半金は必要だという。
半金だって持ち合わせはない。そんなときの場合、当病院はクレジットカードの使用が可能ですだと。
自慢じゃないがクレジットカードなど持っちゃいない。さらに言えばケータイだって持っちゃいない。
手持ちの現金で買えるものしか手を出さない。そんな人間にいきなり6万以上出せといったって無理に決まっている。
それじゃ当病院としては処置を進めることはできません。ここまで応急処置代だけお支払いいただけますか。と獣医。
仕方がないので、そうしますというと、応急処置代だけで4万円超。もちろんこの額も持つ合わせがないというと、診察料の徴収に関しては受付の方でお願いしますという。
で、受付の方で相談すると、手持ちのお金をお支払いください。
免許証と、健康保険証の写しを撮らせてもらって残金は明日中のお支払いくださいということになった。
このやり取りの間も、チャックは診察室から出られないようにしていた。
えらく厳重な対応。どうやら、この病院、やたら金額が張るので、診察料金を払う前にずらかる来院者が多いのだろう。
というわけで、毒蛇にかまれたのに、血清も打ってもらえず、すごすごと退散してきた。