右か左か?17

蚊取り線香のような渦巻きに関しては、右巻きか、左巻きを決定するのに、二つの要素が確定していなければならない。
確定しなければならない二つの要素とは、渦の上下と、渦が持つ運動の方向性だ。
渦巻きパターンを持つものとして、台風の渦と、つむじの渦を取り上げた。台風の渦は、それを上空から見ることが前提だから、その上下は確定している。
その上で、空気の流れ、つまり渦の運動は渦の中心に左回りに向かっているから、これを左巻きとする。
つむじはというと、これは、下からの観察はありえないから、つむじの上下は自明だ。そして、その成長方向を運動の方向とみなせるから、中心から外に、右回りしているものを右巻きとする。
運動の方向が真逆だから、台風とつむじでは、外形パターンが同じものが逆回りの判定となる。

以上のことを考慮すると、蚊取り線香の場合、確定していなければならない二つの要素がどちらも確定しないことがわかる。
まず、蚊取り線香の上下はどのようにして決まるのか。
画像1は缶入りの蚊取り線香だが、缶に入っている状態で、蚊取り線香の上下か決まるとする。
これで、上下は確定できるが、蚊取り線香がつむじのように成長するとか、台風のように気流の流れがあるということはない。
つまり、二番目の要素がないから、蚊取り線香の右巻き、左巻きは判定のしようがない。
メーカーの違う、二つの蚊取り線香は、それぞれが、相手の鏡像と相似形だから、一方を左巻きと勝手に決めれば、もう一方がその反対の右巻きになるが、どちらを右にするか、左にするかは任意だ。
渦巻きパターンの右巻き、左巻きはラセンの場合と違って、渦巻きに運動の要素がないと、ひとつに確定はできない。
言い換えると、渦巻きパターンは、形そのものに右巻きと左巻きがあるわけではないということだ。

  • 豚型線香立て

蚊取り線香に運動の要素があるとすると、それは、火のついた蚊取り線香がだんだん、短くなっていく時の様子だ。
髪の毛の場合とは逆に、渦の中心に火のついた部分が移動していくから、これを上方向から眺めれば、右巻きか左巻きかを判定できるが、これも、画像2のような使い方だと、渦の上下が決まらないおき方なので、判定不能になってしまう。
蚊取り線香メーカー2社のうちの一方は、自社製を左巻きと認定しているようだが、外形だけを根拠に左巻きというのは、以上の説明のように、誤りだ。
同社の蚊取り線香の外形パターンは、南半球にできるサイクロンと同じで、缶入りの製品に付属する線香立てに、収納されていた通りの上下関係のまま、火をつければ、右回りに火のついた部分が、移動していく。