右か左か 番外編4


画像は、右か左か?」シリーズを書くに当たって、私が参考にするため読んだ本、「自然界における左と右」(マーティン・ガードナー著)だ。
最初の章では、鏡の性質について書いてある。
そして4ページには、鏡の性質に関して、筆者が読者に対して出した問題がある。
この問題は、シリーズで取り上げた問題とは性質が違うが、右とは何か、左とは何かの本質に関わる点を含んでいる点で興味深い。
その質問の部分を引用してみる。

ここで、簡単な質問を出してあなたを困らせてみよう。鏡が、ものの左右を逆にするだけで、上下は逆にしないのはなぜだろうか。よく考えてほしい。鏡の表面はまったくつるつるで平らである。右も左も、上も下も、全然ちがったところがあるわけではない。鏡の中であなたの体の左右が入れかわるのなら、なぜ頭と足とは入れかわらないのだろうか。

この質問の意味がわからない人が多いのではないだろうか。頭と足が入れかわるとはどういうことなのか、それがそもそもわからない。
実際、この質問の仕方では、鏡が作る像に関する、ある疑問をうまく提示できていない。
ある疑問というのは、鏡に写った自分の姿の不思議さに気づく子供の疑問だ。
右と左の区別がつくようになった子供が、鏡に映った自分の姿を見てこう思う。
自分が右手を上げると、鏡の中の自分は右手ではなく、左手を上げる。
鏡の、置き方によっては、あるときは上下が、あるときは前後が逆向きになるけれど、左右はいつだって入れかわる。これは何故なんだろう。
この疑問、私自身も小さい頃に抱いた疑問で、この疑問に納得のいく回答が得られるのには、数十年の歳月を要した。