右か左か? 番外編5

鏡の中の自分(1人称)の像のでき方を空間座標を使って考えてみることにする。今後の説明にも、空間座標を使ったほうが説明がしやすい。
今、自分(1人称)が、空間座標の原点の位置に立っているとする。右手のあるほうがx座標の正の方向、左手は負の方向。
顔はy軸の正の方向を向き、足元が原点で、頭がz軸の正の方向にあるとする。
この状態で、鏡がxz平面に平行な平面上に、つまり顔の正面方向にあるとすると、鏡に映った自分は、こちら側、すなわち、y軸の負の方向を見つめている。
この場合、鏡の像は前後が逆になったといえる。
しかし、鏡像のx軸の正の方向、z軸の正の方向には変化がない。
同様に、yz平面に平行な平面上、たとえば自分のすぐ右隣に鏡があるとすると、今度はx軸の正負の方向が逆転するが、y軸、z軸の正負の方向はそのままだ。
つまり、これは左右が逆転している場合になる。
同じく、xy平面に平行な平面に鏡がある場合、たとえば立っている床が鏡の場合、上下は逆転するが、前後左右に逆転は起こらない。
つまり、鏡の中の自分の像は、3次元の一つの次元についてだけ、逆転が起こるが、その他の2次元については逆転が起こらない。
どうしてそうなるかは、それが鏡の性質だというしかない。
しかし、この説明の仕方では、先の子供の素朴な質問に答えたことにはならない。
空間座標だの、正の方向だの、そんなことより、鏡のある位置に関係なく、自分(実像)が右手を上げると、鏡の中の自分(虚像)は、左手を上げるのはなぜなのか。
この質問対して、数学的モデルや、鏡の光学的性質を持ち出しても、うまく説明ができない。
ちなみに、画像は、ある特殊な鏡の宣伝に使われるものを借用したのだが、この鏡のどこが特殊であるのか。
答えは次回に。