新たな子犬たち2013-1-4

  • 左岸堤防にある作業所(夏の風景)

日曜日の午後になって、今度は自転車で現場に、もう一度行ってみた。
しかし、雌犬の姿はなく、子犬を産んだはずだという確信が揺らいできた。
土曜日には、対岸の右岸から見たときに、確かに雌犬が、今、探している草むらをうろついていた。土曜日にそのあたりをうろつくメス犬を見たのは、一回ではなかった。
同じ場所に何度も姿を現すのは、その場所から遠く離れられない事情があるからで、その事情とは、子犬をそのあたりで育てていることしか考えられない。
それなのに子犬のいる気配がまったくしない。どういうことかわからないまま、日曜日の捜索は打ち切ることにした。
次の日の月曜日には、子犬の捜索をする気が失せていた。同じ場所を何度捜索しても、たぶん結果は同じだろうと思えたからだ。
しかし、家のワンコたちのドッグフードをHCまで買いに、車で出かけた帰り、家にまっすぐ帰らず、念のために、もう一度、例の場所に行ってみることにした。
時間は午後1時過ぎだったと思う。現場近くの堤防には、建築用の資材置き場、廃材のリサイクル工場などが軒を連ねている。
しかし、ちょうどその時間帯には、そうした工場からの車の出入りはほとんどなく、午後の早い時間の空白タイムのように、人気もまったくといっていいほどなかった。
車を作業場の一つの駐車スペースに置き、堤防に出て、そこから、子犬がいると思った草むらをしばらく眺めていた。
この日も雌犬の姿は、その草むらにはなかった。やはり無駄足だったかと、そう思った時だった。
風に乗って、どこからともなく、子犬の声が聞こえたような気がした。
どこからともなくといっても、それは自分が今、眺めている草むらの方向ではない。
草むらとは正反対の後ろ側から、その声は聞こえてきた。
後ろを振り返ってみると、車を止めた場所のすぐ隣には、鉄道輸送に使うコンテナが置かれてあり、子犬の声と思われる音が、そのコンテナのさらに奥のほうから聞こえている。
人気がまったくなかったので、コンテナの脇を通って、その奥に行ってみた。