ゼロの神話1

宮崎駿監督のアニメーション、「風立ちぬ」が好調らしい。
宮崎アニメといえば、架空の世界を描いた作品が多く、対象も子供向けから、若者世代であったが、この作品のターゲットはむしろ中高年と思われる。
作品の主人公はゼロ戦を設計した堀越二郎。宮崎はいつかは、ゼロ戦を、そしてその設計者に関するアニメを制作したいと思っていたのではないだろうか。
宮崎の作品には、頻繁に飛行機が登場する。作品の中の飛行機を最初に見たときから、宮崎が航空機に対して、並々ならぬ関心と知識を持っていることがすぐにわかった。
それも、最新鋭のジェット機などではなく、一次大戦で活躍した複葉機辺りから、二次大戦機辺りまでのプロペラ機が興味の対象だと感じた。
なぜそれがわかるかというと、私自身が、一時期、航空機オタクだったからだ。
宮崎がアニメの中で、ゼロ戦をどのように描いているかはアニメを見ていないのでわからない。
一ついえるのは、ゼロ戦に関しては、二次大戦での敗戦という大きな負の遺産をしょってしまった日本人に、唯一、日本人としての矜持を持たせてくれるものであろうとういうことだ。
ゼロ戦に関する書物は今も数多く出版されている。そして、それらのほとんどがゼロ戦を世界一の戦闘機、無敵の傑作機と表現していて、神格化しているのが普通だ。
小学生の頃、航空機、とりわけ二次大戦中に使用された戦闘機に興味のあった私は、こうした書物からの知識で、ゼロ戦は世界に冠たる日本人の誇りだと感じていた。
小学生の頃は、当時はやっていた、プラモデルで、いくつものゼロ戦を作った。これが21型、翼端を角型にしたこちらが32型、そして、最後の52型と型別に並べて悦に入っていた。
中学、高校と進むにつれ、プラモデル作りの参考資料にと集め始めた、航空機ファン別冊、丸別冊などの戦闘機に関する書籍、雑誌が勉強部屋の本棚を埋め尽くした。
学校の勉強などそっちのけで、これらの書籍、雑誌を毎日のように読みふけった。