NHK「巨大災害」をみて

いつ何時どこで起きるかわからない集中豪雨。そのメカニズムが明らかになりつつある。
昨日放送のNHKの番組「巨大災害」は今年、広島で起きた土砂災害を例にとり、これまで知られていなかった、集中豪雨のメカニズムを明解に示した。
番組を見て、一番の驚きは、日本のほぼ全域を覆いつくすように、きわめて湿度の高い空気が夏場にフィリッピン付近の海域から吹き込んでくる現象だった。
この湿度の高い空気は、日本の低空から高空のほぼ全体を覆いつくし、しかも長い間、滞留する。
ここに、低気圧や台風の影響で、低空域に帯状の湿った空気が吹き付けられると、二つの湿った空気が交じり合うところで、水蒸気が雨粒として凝結する。
この凝結作用のときに凝結熱が大量に放出される。この熱が上昇気流を生み出し、さらに湿った空気の上昇により凝結が促進される。
かくして巨大な積乱雲が出現し、積乱雲の下の地域に激しい雨を降らせるというのだ。
地形が平坦であっても、二つの湿った空気のぶつかり合いは起こるから、今や日本のどこにあっても、この現象は起こる。
前線などがなくても起きるこの現象は予測が極めて困難なため、今の観測体制では豪雨警報を早い段階で出すのが不可能なのだ。
私はX-rainが運用を開始してから、ほぼ毎日のように、このサイトを見ている。
とりわけ、台風が接近するとき、降雨量が多くなると思われるときなどは、頻繁にサイトのレーダー画像を見る。
このサイトのレーダー画像は空中にある水滴を捉えたもので、その水滴は程なく地上に落下してくる。
つまりすでに雨が降り始めている地域をレーダーの画像は示している。この雨の地域は西から東にだんだんと移動していくので、自分の住んでいる地域の西側に赤色で表示される強い雨の部分が現れたら、豪雨に対して警戒する必要があるわけだ。
雨の強い部分は、通常、前線付近に生じるが、最近あることに気がついた。
それは、それまで、全く雨が降っていない場所に突如として、強い雨が降っていることを示す、赤色の斑点のようなものが現れ、それが見る見るうちに広がって、強い雨の地域が拡大していく現象が、いたるところで見られるということだ。
強い雨の地域が突如として現れるこの現象は一体なんだろうかと思っていたが、NHKの番組がその疑問に答えてくれた。これぞまさしく上記のようなメカニズムで起きるゲリラ豪雨と呼ばれるものの正体であった。
そしてゲリラ豪雨の原因となる日本列島全体を覆いつくすほどの湿った空気塊。その原因が地球温暖化のせいであることを番組は伝えていた。
地球温暖化はもう後戻りすることはないと番組出演の科学者は語っていた。豪雨災害は夏になれば、ほとんど毎日のように日本のどこかで起きるようになっている。
家の場合は、豪雨による川の氾濫が最も懸念されるので、川の水位を表す情報から目が離せなくなる。
来年の夏が来るのが、今から恐ろしい。