ワンコ屋敷2

2007年12月だったと思う。凍てつく冬の朝、ヨシを散歩につれて出た。いつもどおりの近所を流れる川の土手を下流に向かうコースだ。
土手に上がって歩き始めたところ、少し離れた前方になにやら黒い塊が見えた。
何かと思って近づくと、5匹の子犬だった。近寄ってもびくりとも動かない。
寒い朝で、子犬の毛先には白いものが見えた。なんと体毛に霜が降りているのだ。
これはてっきり、5匹ともかたまって凍死したのだと思った。
間近まで近づいてその塊を見ていたら、なんと動き出したではないか。
凍死したのではなく、ただかたまって寝ていただけなのだ。かたまることによってお互いの体温で凍死を防ぐという、いわば犬の野生の本能なのだろう。

  • 川の中州の子犬たち(2008年2月10日撮影)


動き出した子犬たちは、堤防のノリ面を伝い降り、川の中州の草むらへと向かった。
親犬の姿はどこにもない。5匹かたまることによって、厳しい寒さに耐えたとしても、子犬たちにとって、これからの厳しい生活が思いやられたが、すでに、3匹の犬を飼っていたので、どうしてやることもできないと思い、まだまだおぼつかない足取りの子犬たちが草むらに消えるのを見送った。