新たな子犬たち26

台風が通り過ぎ、雨が上がった日曜日の朝、川の様子を見に行った。
川は増水して、中洲が水没していた。野犬たちが暮らしている中州がどうなったか心配になり自転車で見に行くことにした。
中州に暮らす野犬のうちのメスの一匹が、8月の初めごろからお腹が大きく、出産がまじかではないかと思っていた。

  • 水浸しの中洲(2011年9月4日撮影)


もし子犬が産まれていれば、中洲が水没しそうなときは、きっと子犬を連れて、堤防に避難しているはずだ。状況はマーブルとナイトを保護したときと同じだ。
堤防の道は、あちこちに大きな水溜りが出来ていて、とても走りにくかった。
マーブルとナイトを保護したあたりまでやってくると、お腹の大きかったメスが姿を現した。
このメスはマーブルとナイトの前に保護したチャウの母親だ。
私の姿を見ると、いきなり大きな声で吼え始めた。このメスは私をよく知っているので、いつもなら吼えたりしない。近くに子犬がいるのだろう。

  • 私に向かって吼え続ける母犬(2011年9月4日撮影)


そう思っていたら、そのメスの傍らに一匹の子犬の姿があった。
子犬は私を見ると、あわてて草むらに姿を隠した。やはり思ったとおりだった。
堤防の斜面に生えた草むらは、それほど範囲も広くないので、じっくり探せば、身を隠した子犬を見つけることはそれほど難しくない。
草むらをかき分けて捜索を始めたら、母犬が激しく吼えた。それにはかまわず、捜索を続けたら、草むらにじっと動かず、身を潜めている子犬を発見した。
抱き上げて、自転車の前カゴに収容した。まだ他にも子犬がいるのではないかと捜索を続けたところ、さらに二匹の子犬を発見。三匹を自転車の前かごに入れて帰宅した。
河川敷や堤防の斜面に生えた草を刈るため除草車が次の日の月曜日にでも、その場所の除草作業を始めるところだった。その直前に保護が出来てよかったと思った。