まがい物

ホームセンター(HC)へ、週に何度かペット用品を買うため足を運ぶ。そのつど、園芸コーナーにもよってみる。
先日、その園芸コーナーで、透明なプラスチックの容器に入った接木の緋牡丹を見つけた。
大きさの割には、値段も398円と手ごろなので、一つ買い求めた。容器の中に入っていた、紙製のラベルには、韓国製であることをうかがわせることが書かれていた。
接木サボテンは、丈夫なサボテンを接木の台にして、その先に、それ自身では、育ちにくいサボテンを穂木として、乗せて作る。
緋牡丹は植物の成長に欠かせない、葉緑素がないため、自立して成長できない。
この技術は、日本人が考え出したものだが、今やこの技術を利用して、世界に向け生産品を輸出しているのは、日本の企業ではない。

  • 接木された緋牡丹


家に持ち帰り、紙で出来たような鉢がとても頼りないので、植え替えることにした。
植え替えようとして、鉢をさかさまにしたら、サボテンがすっぽり抜け落ちた。
台木には根がなく、ミズゴケを詰めた紙製の鉢に差し込んだだけのものだった。
大量の製品を時間的に効率よく、パッーケージしていくためには、根などあっては邪魔なのだろう。
栽培時にはあったはずの根をすっぱり切って捨て、乾燥したミズゴケで、根のあったあたりを包んで、紙製の鉢に押し込む。一連の作業が目の前に浮かぶようだ。
つまりこの製品は、原材料は確かに栽培植物ではあるが、商品としては工業製品に近いものといえる。
こうした事情も知らず、普通の植物の鉢物として、時折水を与えても、育つはずもなく、数ヵ月後には、枯れてしまうだろう。
台木に使ってある三角柱というサボテンは、発根しやすく、発根が期待できる植え付けをすれば、ちゃんと育つ可能性はある。
その期待を込めて、培養土を選んで、植え替えた。