新たな子犬たち2013-2-1


6月の中ごろになって、野犬グループのメスの一匹が妊娠しているのに気がついた。
グループの三匹のメスのうち、一番若いメスで、このメスに、私はノラという名前をつけている。
ノラが前回子犬を産んだのは、去年の夏の終わりごろで、春ごろには子犬を産むのではないかと予想していた。予想より妊娠するのが二ヶ月ほど遅かったわけだ。
夏の、それも梅雨が明ける前に子犬を生むのは、タイミングが悪いと思ったのだが、どうしようもないことだった。
18日の夕方にノラを見かけたときに、その腹部ははちきれんばかりに膨らんでいて、出産が間近なのは疑いようがなかった。
悪いことに、天気予報では、明日から雨。天気予報どおり、19日は一日中雨。翌20日も午前中に一時小ぶりになったものの、あとはかなりの雨量の雨が降った。
自宅から堤防まではすぐなので、川の様子を見に行くと、中州の草丈の半分近くまで水が来ていた。
19日、20日のいずれかの日に、草むらで母犬が出産していたとしたら、子犬を中州から避難させていない限り、おぼれてしまっているだろう。
19日の水曜日以降、野犬グループは河原には現れなかった。ノラはどうしたのだろうか。子犬を産んだものの、子犬は水かさを増した川に流されたのだろうかと気が気ではなかった。
23日の日曜日に、少し晴れ間が出た午後、チャックと小夏を連れて、散歩にでたところ、野犬グループがよく出没するところで、ノラが姿を見せた。
しかし、ちらりと姿を見せると、すぐ近くの中洲に姿を隠した。ノラはどうやら、川の水位が低くなった土曜日ごろ子犬を産んだようで、姿を現した近辺の草むらがその場所だと考えられた。
私の前に姿を現したのは、無事に子犬を産んだことを私に教えるためだったとしか思えない出現の仕方だった。