新たな子犬たち42

いつも観察している野犬グループの一番若いメスが、去年の年末あたりから、体つきが変化して妊娠しているように見えた。
このメスは去年の夏に保護した4頭の子犬の母親だ。1月20日前後から姿が見えなくなったので、どこかで出産したのだろうと思っていた。
そして今日、2月6日。天気予報が今日から明日にかけて、かなりの雨になる予報を出していたので、子犬がいると思われる場所に行ってみることにした。
水没寸前の中州から、母犬が子犬を助け出すのを待っているより、雨が降る前に子犬を発見できれば、それに越したことはない。

  • 保護した二頭の子犬(2012年2月6日撮影)

冬の中州は草が枯れて、割と楽に踏み込んで行ける。当たりをつけている場所は、夏にこのメスが子犬を産んだ場所のすぐ近くだ。自分が生まれ育った場所でもある。
出産に当たって、自分が生まれ育った場所を選ぶというのは、やはり一番安心できる場所だからだろう。
いつもの年なら冬でもヨシ、カヤの枯れ草が中州のほとんどを埋め尽くしていて、野犬たちの隠れ場所がいくらでもあるのだが、去年、中州では、ヨシやカヤがほとんど育たず、中州は丈の低い枯れ草だけの状態だ。
見通しが大変よく、簡単に目指す場所に近づけた。そして、予想通り、母犬が枯れ草の中にいて、その近くに2頭の子犬がいた。
私が近づいても、吠えはしなかったが、子犬を抱き上げた時には、かなり吠えた。
子犬は2頭だけかと、母犬の居た場所を良く探したら、その近くに3頭の子犬の死体があるのが確認できた。
元気な2頭に比べて、死んでいた子犬はかなり小さかった。このところの寒さが原因で生まれてまもなく死んだのだろう。
野犬の子として生まれた場合、生まれた直後から、厳しい試練が待ち受けている。
5頭生まれても、2頭しか寒さに耐えることができず、それを乗り越えた2頭も半年以上生存できる確率はほとんどない。
発見できた以上、これを保護しない訳には行かない。2頭を連れて、帰宅した。