自己責任1

ある食品の販売が規制されることになり、業界、そして食通の人たちがタイトルの言葉で、自分たちの選択の自由を奪うことになる政府の決定を批判している。
さて、この「自己責任」と言う言葉、バブル経済が崩壊し、低金利時代となった時に、「ハイリスク・ハイリターン」と言う言葉とともに使われることが多くなったように思う。今から10年ほど前のことになるのだろうか。
それ以前に耳にした記憶がないから、おそらく海外から輸入品だろう。多分英語のself-responsibilityの直訳と思われる。
この言葉を耳にするたびに、20年ほども前になるが、半年ほど滞在したオーストラリアでの、ある出来事を思い出す。
ある時期、オーストラリア、パース市郊外にある小さな町の高校で、日本文化紹介のための授業を受け持っていた。
滞在期間は、10月から3月までの半年間。間に夏休みが挟まっているから、実質的な授業時間はそれほど多くはなかった。
長い夏休みも終わりかけの頃、社会科の教師の一人に、町の郊外にあるクラブで乗馬をしてみないかと誘われた。
その先生は、私とほぼ同世代で、教えている学校に、10年生か11年生、つまり日本の高校生にあたる娘がいた。
乗馬クラブには、先生の運転する車で先生の娘、それから私の三人で出かけた。もう一人、娘の友達もいたように思うのだが、記憶がはっきりしない。
先生が乗馬クラブに着いたと言うので、私たちは車から降りた。ところが、私が想像していたような乗馬クラブは周りを見ても、どこにもなかった。
受付らしい、小屋があるだけで、辺りは、ブッシュの生い茂る丘陵地帯だった。