日本人の英作文30

久々の英語関連記事の更新。
ちょっと間が空いたのは、"come or go"問題に関して、ネタを仕込んでいたからだ。
ある場面で、goを使うべきなのか、comeを使うべきなのかは、日本人には意外なほど難しいことは、先に述べた。
この問題に限らず、中学段階で習う、英語の基本中の基本とも言うべき事項について、日本人英語学習者の多くは、私を含めて身に付いていないものがかなりある。この点に関して、薦めたい本がある。
本の題名は、「日英対照 英語表現研究」。著者は衣笠忠司。副題が「マンガ対訳本から学ぶ」となっている。副題からすると、マンガに出てきたシーンが採録されているかと思ったら、それは一切なく、マンガの日本語のせりふに対して、同じマンガの英語版を対比させ、英語表現を学ぼうというものだ。
日本語が元で、それが英語に翻訳されたものというのは意外に少ない。そういう意味で、マンガ対訳本に目をつけた筆者はなかなかの慧眼といえる。
さて、その本の第11章は『go, come, beと「行く」「来る」』となっている。この章の一部を以下に引用する。

11.1. 中心に向かう場合(come=行く, 来る)
日本語では、あくまでも話し手を中心として考えますので、人が話し手から遠ざかる行為は「行く」であり、人が話してのほうに近づく行為は「来る」となります。しかし、英語では中心ととらえているほうに近づく行為はすべてcomeを使い、中心から離れる行為はgoを使う点が違っています。
(1) comeを使う場合
  a. 中心(声のする方向・誘われた方向に)近づく: 行く、参る
  b. 中心(話し手のほうに)近づく: 来い、来る、おいで
  c. 中心(相手先に)近づいて到着する: きた
そのことをわかりやすくしたのが(1a.b)です。つまり、(1a)の場合では日本語は「行く」ですが、英語はcomeになるという違いがあります。
(2) (玄関でだれかが)ごめん下さいまし
  Anyone home?
(奥さんが)ハーイただいま
  Yes, coming! (中心=声の方向)
(3) (トランプで、子供たちが)お母さんの番だよ
  Mom, your turn!
(別の場所にいた母親が)はいはい
  Coming! (中心=声 (子供達)の方向)
(2)では玄関で声がする場合、玄関が中心となり、そこに近づくのはcomeとなります。ComingというのはI'm coming.を略した形です。(3)も同じような状況で、「お母さんの番だよ」と呼ばれているわけで、声がしてるところに近づくので、英語はcomeを使います。
(以下略)

comeとgoの使い分けを本書では中心ということば使ってうまく説明している。このブログでは、comeとgoの使い分けを接近関係と離脱関係という言葉で説明したが、まず意識の中心がどこにあるのかを決めてから、そこに近づく場合をcomeと表現するのだという本書の説明の方がわかりやすいかもしれない。