日本人の英作文34

AとBが同行または、一方が他方に随伴する場合の表現として、A come with BまたはB come with Aとcomeを使う場合と、A go with BまたはB go with Aのように、goを使う場合がある。
AとBが同行するのだから、一方が他方に付き従うと考えれば、先導する側に、もう一方が離れないように付いていくのだから、本書にあるように、中心、すわなち話し相手の方に近づいていく場合の一例として、comeを使う場合だということは、一応、納得できる。
では、同じ状況でgoも使えるというのはどういうことかというと、この場合、同行する二人以上の人間を、同一行動をとる一つの集団とみなすということだ。
同一行動を取る一つの集団だから、話し手と聞き手という二つの行動主体の位置関係を示す、comeとgoの使い分けの原理が適用されず、集団がどこかに移動する時は、常にgoだけが使われる。
集団がどこかに移動しようというとき、その集団のリーダーなり誰かが、他のメンバーにLet's go.とは言うけれど、Let's come.は使わない。
それと同じように、A go with Bは、AがBまたは、Bを含む集団に、Aがその集団に自分を含めて考えようとしている時に使われる。
具体的な使用例からすると、A come with Bは、Bが移動の先導的役割を果たし、Aはそれに付き従う場合に用いられている。たとえば、次のような場合だ。
1. BがAの道案内をするとき
Come with me. I'll take you to the place.
2. 職場が変わった夫(B)が妻(A)に
I think you'll come with me.
1. などの場合、Aは行く先がどこにあるか、またはどう行けばよいのかについて知らない。2.などの場合、Aが自分が率先してその移動を行うのではない。
つまり、A come with Bの、Aの行動は受動的、付随的だ。日本語で訳をつけるとするとAの立場から言うと、「付いて行く」だし、Bの立場から言うと「付いて来い」になる。
一方、A go with Bは、Bまたは、Bを含む集団にAが自発的、積極的に参加しようという場合で、具体的な使用例は次のような場合だ。
1. BがAをどこかの場所に誘って出かけようとする場合。
  Will you go with me?
2. 今から出かけようとするBに、自分(A)も一緒に行くという場合
  Wait a minute. I'll go with you.
3. comeとは逆に、BがAに移動の先導的役割を期待している場合
  I don't like to go to hospital alone. Go with me, please.
come withが使われる場合と違って、1.の場合も2.の場合も、Aは行く先も、その行きかたもよく知っているし、2.の場合のように、行動が自発的だ。
日本語の訳は、Aが二人称のyouの場合の1. 3.のような場合、「一緒に行ってくれる」とBにとって受益的な訳が適当だ。
また、2.の場合のように、Aが一人称だと「一緒に行きたい」とAの積極的・自発的行動を表す訳が適当になる。