里子訪問(シュン、ツバキ、鈴) その3


ツバキの里親さん宅を後にして、次に向かったのが、里子の鈴の里親さん宅。
県境にあるI山のふもとに里親さんのお宅はある。
ふもとの神社の境内近くにある駐車場に車を止めて、小夏を車から降ろし、里親さんのお宅に向かった。
お宅の前までは徒歩で行くしかないのだ。途中、ちょっと前の豪雨の影響か、幅1mもない細い道の谷側の半分が崩れそうになっていた。
工事車両の横をすり抜けるように通ったが、小夏がちょっとパニックになってかなりあわてた。
細い道の一番奥にあるのが里親さんのお宅。ここから先は完全の山の中。夏は涼しいだろうが、冬はどうなのだろう。
鈴は、家の中に居たが、里親さんの合図で、庭先に飛び出してきた。
小夏との初対面。鈴は、時々連れてもらっていたドッグランでできたワンコ友達の訪問を受けることがあるということで、自宅の自分の領分によその犬がやってくることに抵抗はないようだった。
お互いに鼻を近づけあい、犬同士の挨拶。その後は喧嘩するでもなく、かといって仲良くするでもなく、割合あっさりとした対面だった。
小夏と鈴は母親が違うが見かけがかなりよく似ている。
野犬グループの3匹のメスには、年齢順にベッキー、シーバ、ノラという名前をつけている。
小夏の母親はノラで、鈴の母親はシーパだ。しかし、父親は同じなので、お互いにかなり似ている。
両方を比べてみると、鈴の方がやや小柄で、黒毛の部分が黒光りするほど黒い。
それからなんといってもメスではあるが、表情が実に精悍だ。里親さんのコマンドにすばやく的確に反応し、鈴ほど躾けの行き届いた里子は他にいない。
大雨で増水した川に一番最後まで取り残され、母犬シーバの決死の救出で助かった鈴。家族の愛情を受けて、これからも大事にされることだろう。