ボクは猫が嫌いだった3

さて、先に引用した童話作家きむらゆういち氏のエッセイの後半部分をここで引用する。

さっそく家に帰ってみると人間たちに囲まれて、手のひらに載るくらいの小さな子猫がいた。抱いているのは週に2回来てもらっているお手伝いさんのYさんだ。
このYさん、いつも夕方になると「ちょっと5分だけ家に帰ってきていいですか」と言っては、近所の家に戻っていく。いったい5分だけ家に帰ってどうするんだろうと思っていたが、その謎がいっきに解けた。
「実は、近所の公園にいる猫の一家の世話をしに行ってたんですよ」
そしてその猫に子猫が生まれた。しかも一匹だけ育児放棄されて死にかけている。外は寒い雨も降っている。2、3日ももたないだろう。そこでYさんはその話をうちの子たちにしたってわけだ。
娘と息子は当然うちで飼おうということになる。そんなわけでお手伝いさんの陰謀通り、ボクはその子猫を飼うことになってしまった。名前はノンピ。今、そのかわいさにはまっている。

お手伝いさんと子供たちの連係プレーで、子猫を飼う羽目になったきむら氏。そうした展開は他の家でもありそうな話だ。
猫を嫌っていたはずの氏が、自分の身近にやってきた子猫に、すぐにメロメロになってしまうのは、いささか人が良すぎると言うか、氏の猫への恨みはそんなに簡単に消えてしまうほどのものだったのかと、根が執念深い私などは、突っ込みを入れたくなる箇所である。
それはともかく、この後半部分は、私が猫を飼うことになったいきさつとはずいぶん違う。
私の場合、事態が予想外の展開になるのに、かなりの年月がかかっている。その展開については次回以降に書くことにする。