ボクは猫が嫌いだった4

家の庭に猫が入り込まないようにするため飼い始めた柴犬のタケル。当初の目的はタケルが庭に置いた犬小屋にいるだけで、十分果たすことができた。
タケルを飼い始める前は、犬が好きではなかったが、タケルとの毎日の散歩やボール遊びなどを通じて、だんだんと犬が好きになっていった。
庭にやってくる猫もほとんどなく、父が飼っていた小鳥が猫に襲われることもなくなった。全て世は事もなしの状況が数年にわたって続いた。
ある日のこと、いつもどおり家の近くをタケルと散歩していた時、道路沿いの植え込みの中から、子犬の鳴く声がした。近寄ってくるタケルに対しての警戒のうなり声だった。
植え込みの中をのぞいてみると、それは、生後4ヶ月に近い、子犬と言うにはもうかなり大きくなった白い毛の犬だった。
首輪はしておらず、近くに飼い主と思しき人影もない。どうしようかと迷ったが、すでに犬を好きになっていたわたしは、その犬を連れて帰ることにした。
手を伸ばすと、少し怖がって後ずさりしたが、人間の世話を受けているのか、逃げ出すことはなかった。
家に連れて帰ることにした時点で、もう家でその犬を飼うというのは決めていた。
家に連れ帰り、まずは体を洗ってやった。白い毛が全体的に薄汚れていて、汚らしかったからだ。
栄養状態は悪くなく、誰かが世話をしていたのだろうが、飼い犬にしては薄汚く、十分な世話ではなかったのだろう。
犬は全身がまっ白な毛色のメスで、その毛色にちなんで、ユキという名前をつけた。タケルはユキをじゃまにする事もなく、ユキは私にもすぐに懐いた。
ユキが懐いた頃から、犬の散歩は、タケルとユキをつれたものになった。