絶滅種#3

持っていないものの続き。ひいきのスポーツチーム。私の年代から上だとなんと言っても野球観戦を楽しむ男が圧倒的。
私は野球、正確に言うとプロ野球中継を全く見ない。当然ひいきのチームもない。
同年代の男同士の会話で、たまに、いきなり「どこのチームのファンですか」などと聞かれることがある。
当方が野球ファンかどうかも確かめずにこの質問はないだろうと思うのだが、相手にしてみれば、同年代の男はすべからくプロ野球中継を見ていて、ひいきのチームもあるに違いないと思うらしい。
若い頃に腎臓病をわずらった際、入院する羽目になり、6人から8人ぐらいが同室の大部屋にいたことがある。
時おりしも、真夏。夕食が終わると入院患者たちの唯一の楽しみがテレビの野球中継を見ること。
大概の入院患者は自分用のテレビを枕元においていたから、部屋中が野球中継の音で溢れかえることになる。
ひいきのチームの打者がヒットを放ったり、投手が相手を三振に討ち取ったりするたび、大きな歓声が部屋中に響いた。
私もほかの事ができないので、隣の患者のテレビを見るともなしに見ていたが、正直なところ、何がおもしろいのか全く分からなかった。
興味がないのは、野球だけでなく、他のスポーツに関しても同じ。
サッカーもバスケットもバレーボールの試合もどれも見ない。全く興味なし。要するにチームスポーツが嫌いなのだ。これはかなりの少数派だと思う。
チームスポーツに近いのに、たまに見るのが駅伝中継。ただ淡々と走り続けるこのスポーツの何に惹かれるのか自分でも良く分からない。
たぶん、走者が変わるたびに、予想もつかない展開になることが良くあり、これが好きなのだと思う。
したがって、ある程度、今後の競技の展開が予想できるようなマラソンだともう興味がない。
野球は競技者全員のポジションが決まっていて、全く予想もつかない展開などというものがありえない。
チームスポーツの上、ある種の予定調和に満ちたゲーム、たぶん野球のここが私にとっておもしろくないのだ。