人工知能の限界1

昨日の読売新聞朝刊のトップニュースとしてコンピュータが囲碁のトップ棋士に3連勝したことが出ていた。
あらかじめ想定される手をプログラムしておき、絞り込んだ手の中から、コンピュータの心臓部であるCPUを多数並列して演算させ,打つ手を決めるという手法で,トップ棋士をも凌駕する能力を身につけたという。
このことで思い出すのは、1997年5月にIBMが開発したディープブルーというコンピュータが当時のチェス世界王者のカスパロフに3勝2敗1引き分けで、勝利したことだ。
ディープブルー勝利の記事を読んで,その当時私が思ったのは,いずれ近い将来、日本の将棋、さらには、囲碁でもコンピュータが人間に勝つ日が来るということだった。
将棋に関しては西暦2000年の早い時期に,囲碁でも20年はかかるまいと予想した。
そして、私の予想通りのことが昨日起こったというわけだ。
ところで、ディープブルーの勝利の報道があったとき,私はもうひとつ別の予想を立てた。
それは、私にも大いに関係のあるコンピュータ翻訳に関することだ。
1997年当時にも、コンピュータ用の翻訳ソフトは存在した。しかしその実力はというと、使い物になるものなどまったくないという状況だった。
ためしに、ごく簡単な英文を入力して,日本語に訳させると,どうにも意味不明の日本語が結果として出力される。出力された日本語の解読のほうが、元の英語を理解するより数段難しいといった有様。
そのときに、私が立てた予想は、コンピュータが囲碁で人間のチャンピオンを負かすようになっても、翻訳ソフトは相変わらず、たいしたことないだろうというものだった。
あれから19年、翻訳ソフトも囲碁ソフトのように,格段の進歩を遂げたのだろうか。
グーグルで使える無料の翻訳サービスがあるので,ためしに,「日本人の英作文2016-4」で取り上げた課題文を入力し翻訳させてみた。
結果は次のようなものだった。

"Ignore? In other words, whether it is me I dull?"
"Yeah," Ami, glared at the sharp look towards the Ryohei. "When during this time, is I was consulted about work, I think you laughed. So, first is not of said lightly me I'm anything same know. But I was not worried, not a good Tatte not Anna say."

一読して、いや一読できない「何じゃこりゃ」のゲテモノ。私の予想通り、翻訳ソフトはほとんど進歩していないようだ。
もっとも翻訳する内容によっては現在の翻訳ソフトでも、使える場合があると思う。それは、内容が定型文の割合が多い,会社約款や,契約書の場合だ。
使われる文言はほぼ100パーセント決まり文句。こういうものの翻訳は翻訳ソフトでも十分対応できるだろう。
これに近いのが、機械のマニュアル。手順説明に使われる日本語はほぼ決まり文句。
一部、その機器に特有の操作には、応用が利かないだろうが、それでも十分に機械翻訳の出番は多いと思われる。
ところが翻訳の対象が小説や物語となるとこれはもういけません。定型文など、ごく一部にしか出てこないから翻訳ソフトではとても太刀打ちできない。
一体なぜそうなのか。次回の記事では、その事を考察してみる。