Kinky University

新年も早、半月が過ぎた。その新年1月3日の新聞にある大学の一面ぶち抜きの広告記事。
大学に関係したこれまでの出来事に対して謝罪するという内容。
謝罪する内容がいくつも挙げられており、その中に英文による謝罪記事があった。
その謝罪記事を次にあげてみる。著作権は問題にならないだろうから、全文を掲げる。

Sincerest Apologies from Kindai University for Any Confusion surrounding Our English Name
Jan.3 2018
Two years ago, we officially changed our English name from Kinki University since the word 'kinki' has negative connotations. We would like to apologize to our graduates who have dealt with foreign entities for any embarrassment they have experienced.
We will do our best to promote our new name, Kindai University, and the integrity of our institution, both in Japan and abroad.
We appreciate your understanding and cooperation.
Kindai University

ある言語では問題ない単語が別の言語では、とんでもない意味を持つことがある。
これもそうしたことに一つだ。
上記英文を訳すと次のようなことになる。
「2年前に、私どもは大学の英語名である Kinki Universityを公式に変更しました。変更理由は'kinki'という単語が与える悪い印象です。
これまでに海外の企業体等との業務で、本学の卒業生が恥ずかしい思いをしたことに対して謝罪するものです。
本学は本学の新しい名称を世に知らしめ、その高潔な精神を国内外を問わず推し進めていく所存です。
なにとぞ上記方針の趣旨をご理解いただき、助力していただければ、幸甚に存じます。」
これまでにも指摘のあったことなのだが、'kinki'と発音がほぼ同じの英単語の'kinky'は「変質者的」という意味だ。
これが大学名にされているのだから、英語圏に暮らす卒業生の戸惑いはいかばかりであったろう。
遅きに失したとはいえ、元の名称を変更したのはよかったのではないだろうか。
これで思い出すのは、私がオーストラリアにちょっとの間、暮らしていた時のエピソード。
オーストラリアには日産の車体生産工場があり、街行く日産車は珍しくなかった。
ただその後ろ側についているエンブレムには、国内とは違った名前になっていた。
で、その名前がどういう意味かをオーストラリア人に聞いたところ、タダの名称で特に意味はないとのこと。
それじゃ日本国内ではどう呼ばれているんだという逆質問。
この質問に「セドリック」だと返事すると、このやり取りを聞いていた数人のオーストラリア人が一斉に笑い出した。
なぜかというと、「セドリック」は人の名前に使うもので、それも古風な名前だという。
そんなものを車の名前に使う神経が分からないという。
確かに、自分の車の車種が「権左衛門」だったら、日本人の誰もが引いてしまうだろう。
この例はまだいいほうだろう。少なくともnegative connotationはないからだ。
英語圏で商売上、'Kinki University'と卒業した大学の名前を告げた場合の反応は爆笑どころのものではなかっただろう。
さて、この'kinki'というローマ字表記、あるボーカルデュオの名前に使われている。
海外で講演を行うつもりがないのなら、問題はないだろうが、英語圏で活躍したいと思ったら、この大学のように、名称変更したほうがいいように思う。